《シリーズ対談》第3回 ゴルフと健康増進

鳥羽 研二 東京都健康長寿医療センター理事長・医学博士・ゴルフ振興推進本部参与(後列左)
沓掛 英二 野村不動産ホールディングス株式会社取締役会長(後列右)
鳥羽理事長奥様 志保美さん(前列左)・沓掛会長奥様 美由紀さん(前列右)

 

鳥羽研二・東京都健康長寿医療センター理事長  この連載は、ゴルフがいかに健康維持、増進に役立つかを伝えるため、毎回、各界の方を招いて話をお伺いしています。今回は、野村證券、野村不動産を長年、けん引されてこられた野村不動産ホールディングスの沓掛英二会長と奥様の美由紀さんにご登場していただきます。本日、一緒にラウンドさせていただいた私の家内、志保美も加え、皆様からゴルフの効用、特に夫妻でゴルフをすることの良さ、女子会ゴルフの楽しさなどをお聞きし、女性こそゴルフから受ける恩恵が多いことをお伝えできればと考えています。

沓掛さんと私は、故郷が同じ長野県です。さらに縁がありまして、私の高校時代の担任教諭が、のちに沓掛さんの出身校である県立屋代高校の校長になったことから、その先生から頼まれて屋代高校で講演をしたことがあります。

まず、沓掛会長にお聞きします。どのような仕事をされているのか、簡単に教えていただけますか。

沓掛英二・野村不動産ホールディングス会長  野村証券で30年間働き、9年前、証券の副社長から野村不動産ホールディングスに移りました。野村不動産ホールディングスでは8年間、代表取締役社長、CEOを務め、この4月から会長になりました。会長ということで、もう少しゴルフができる時間が増えるかもしれません。(笑)

鳥羽理事長  野村不動産グループともなると、私たちが知っている街の不動産屋さんとはずいぶん規模、仕事の内容が違うのでしょうね。

沓掛会長  国内でマンションを年間4,000から5,000棟ほど、開発、供給しています。さらに、ビルなど不動産全体の開発、街づくりを行っています。マンションやビルは、しっかりと管理、運営をして、不動産としての価値を保つ必要があります。マンション、土地、工場の売り替えの仲介も大きなビジネスです。最近は、海外にも進出し、アジア、そして企業買収をしたイギリスでマンション等を開発するなど、グローバル展開も考えています。

沓掛会長

家族でラウンド

鳥羽理事長  大変、多様なお仕事で、激務であることが想像できます。奥様に、仕事のことはよく話されますか。

沓掛会長夫人・美由紀さん  よく聞きますね。(笑)

沓掛会長  ゴルフと一緒で、ためておくとストレスによくないということで、一応、愚痴を言ったりしております。(笑)

鳥羽理事長  沓掛会長とゴルフとの出会いを教えていただけますか。

沓掛会長  確か大学2年生の時、バイト先の社員の方から誘われてゴルフ場に行ったのが最初です。でも、その後は仕事に追われ、本当に始めたのは28歳の時です。

鳥羽理事長  最初のラウンドのスコアは、いかがでしたか?

沓掛会長  ほとんど覚えていません。先生ほど記憶力がないから。(笑)でも、初ラウンドのパー3でパーを取れました。多分、ハーフで60から70ぐらいだった気がします。

鳥羽理事長  奥様が最初にゴルフをされたのはいつ頃ですか。

沓掛美由紀さん  一番下の子どもが大学に入学してから始めました。それまでも、夫から、練習くらいやってみたらと、ずっと言われていました。最初は、半年ほど練習場で練習するだけでした。レッスンの先生からは「コースに行かないのか」と言われていましたが、8年か9年前、夫に初めて連れていってもらったコースが、千葉のグレートアイランド倶楽部でした。
夫、息子と三人で回りましたが、たまたま大雨の日で、帰りのアクアラインが通行止めになるほどでした。でも、夫から「ゴルフはどんな雨だってやるものだ。せっかく来たのだから、プレーをしよう」と言われました。

沓掛会長  最近、ちょっと天気予報が悪いから中止にしようっていう人が多いですよね。 そのような気持ちだったら、最初から予定しないで欲しいと思います。私は、(激務のため)ゴルフの予定を入れるのに、1年がかり、下手をしたら2年がかりで計画しています。それなのに、1週間前に「雨ですけどどうしますかって」と聞いてくる部下がいます。「クローズにならない限り行く」と、いつも言っています。

鳥羽理事長  奥様がゴルフを始めてから、どれくらいの頻度で、お二人でプレーをされていますか。

沓掛会長  新型コロナがまん延してから、夫婦のゴルフの回数が飛躍的に増えました。毎週のように行きました。他にやることがありませんから。週末、家にずっといたら病気になりますよ。

沓掛会長奥様 美由紀さん

ゴルフで友達が。それが楽しみ

鳥羽理事長  聞きにくいのですけど(笑)、私の家内、志保美さんはいつ頃からゴルフを始めましたか。

鳥羽志保美さん  鳥羽がアメリカの大学に赴任していた時に、始めました。ただ、全然、練習はしないし、ゴルフに誘われても下手なので行きたくない状態が続いていました。もう、ゴロばっかりだったし。

50歳の時、鳥羽の友人の方に誘われたことがきっかけで、これではいけないと思い、スクールに通い始めました。そこで一緒にラウンドするお友達もできました。

沓掛会長  男性と違って、女性はすぐお友達ができますよね。私も若い頃、コーチに習っていました。 性格が素直でしたから。(笑) 女性はコーチに教わったほうがいいと言いますが、身内に教わると喧嘩になることもありますから。ですから、なるべく教えないようにしています。それでも言ってしまうのです。右を向いているとか。 自分では教え魔だとは思いませんが、よくそのことで怒られます。

鳥羽理事長  レッスンプロも、人によって教え方が違うと感じますか。

沓掛美由紀さん  本当に違います。 あとは自分と性格が合うかどうかもあります。

鳥羽理事長  ご主人のアドバイスとコーチの教えで違うときがありますか。

沓掛美由紀さん  全然違いますよね。夫の言う事は 一応「はーい」って聞くふりをします。(笑) ただ、たまに「もっと右を向いて」という主人のアドバイスでうまくいくことがあります。そういう時、夫は「はい、じゃあ、口座にレッスン料をいくら払っておいて」などと言います。

鳥羽志保美さん  鳥羽のやり方は、まず私に素振りをさせ、そこにボールを置いてくれるのです。

鳥羽理事長  初心者に教えるときは、素振りをさせて、ターフを取ったところにボールを置きます。そうすると必ず当たりますから。

鳥羽志保美さん  ただ、夫に教わるだけでなく、プロの所に行ったから、友達ができ、一緒にラウンドに行けるようになりました。それが楽しかったですね。

沓掛会長  ゴルフの広がりって、そういうところがありますね。同じ倶楽部のメンバー仲間とか、友達ができ、その輪がまた広がっていく。なんか楽しくなるじゃないですか、人生が。

鳥羽理事長  プレーの頻度とハンディキャップを教えていただけますか。

沓掛社長  ハンディキャップは、16くらいですかね。磯子カンツリークラブでは13ですが、戸塚カントリー倶楽部だと3つか4つハンディが増えます。

鳥羽理事長  もともと沓掛さんとは、ノーベル賞の医学・生理学賞受賞者である本庶佑先生が代表を務める医療関係者と経済人が将来を語り合う会で知り合いました。とても真面目な会ですが、ゴルフをする機会もあります。私はそれが楽しみで参加させていただいていますが、沓掛さんはいつも一番、飛ばして、何度も優勝されていますよね。

沓掛会長  私ども実業の世界の人間からしてみると、全然違う世界である医療・医学界の方々とラウンドすることは、大変新鮮な事でした。

ゴルフで健康的なスケジュールに

鳥羽理事長  健康面で気をつけていることはありますか。

沓掛会長  ゴルフは基本的に歩きますよね。 18ホールを休憩せずにスルーで回ると、結構な体力が必要です。鍛えていないと難しい。 私は、土日連続してゴルフをすることを考え、週に1回、ジムでストレッチとウォーキング、ベンチプレスなどに励むようにしています。
平日、部下たちはランチの時にミーティングや会議を入れたがります。私の体、予定を押さえたいのです。でも、私は、健康のためにランチミーティングを禁止にしています。食事の前に30分歩き、食事をとった後、また30分歩く。普通の仕事の日は、できるだけ歩くようにしています。

沓掛美由紀さん  私も、外出する時は、できれば歩くか自転車にするよう心掛けています。自転車も電動ではなく、普通のものです。夕食は6時か7時までに取りたいのですが、平日は夫の帰りが遅く、一緒に食べることはまずありません。それなので、休みの日は早く食べよう食べようと、夫に言います。早めに食べて早く寝るようにしたいのです。野菜中心で、好きな魚料理が多いですね。

沓掛会長  土曜日、日曜日にゴルフをする計画が入ると、健康的なスケジュールになります。 早く寝るとか。それはものすごく体にいいと思います。深酒しませんし。

鳥羽志保美さん  当家の夕食は、6時から7時の間です。というのは、娘一家と一緒に食べることが多いからです。孫たちは、遅くなるとお腹が空いちゃいますから。

鳥羽理事長  以前は、仕事で夜中の10時とか12時に帰宅していましたが、完全に管理職になってからは、規則正しい生活になっています。

沓掛会長  新型コロナがまん延してから、自宅にいる時間が長くなり、健康面ではいい影響が出ていると思います。

鳥羽理事長奥様 志保美さん

ゴルフツーリズムでエンジョイ

鳥羽理事長  ゴルフに関して、何かエピソードはありますか。

沓掛会長  エピソードではありませんが、以前は旅行に行くと観光オンリーでしたが、今は観光にプラスして必ずゴルフを組み入れています。 沖縄に行ったら、泳ぐだけではなくて必ずゴルフしてくる。スケジューリングの中で、ゴルフはマストです。これがとてもいいです。

鳥羽理事長  うちもそうです。ほとんど観光なしですね。(笑)

沓掛会長  これはゴルフツーリズムと呼ぶのでしょうか。日本には約2,200コースあるそうです。もう、パラダイスですよね。

沓掛美由紀さん  海外も夫と一緒に行って、ハワイのワイアラエカントリークラブでラウンドしました。カウアイ島のポイプ・ベイゴルフコースとか。ハワイは景色が綺麗で、途中で写真を撮りながら仲良くプレーしました。

沓掛会長  ファミリーとか家内と旅行をすると、ゴルフツーリズムになり、ものすごくエンジョイできます。

鳥羽理事長  お友達やお知り合いの中で、夫婦でゴルフをされている方はおられますか。

沓掛会長  最近、一気に増えました。 以前は、旦那は仕事上の付き合いでゴルフをし、奥様は別の人たちとプレーするケースが多かったと思いますが、今は夫婦一緒に楽しむようになったと感じています。以前はツーサムではなかなか回れませんでしたが、今は当たり前になりつつある。夫婦で回る環境も整ってきたと思います。

鳥羽理事長  仲間と一緒にプレーするのも楽しいですが、夫婦だといつでもゴルフ場に行ける良さがありますね。

沓掛美由紀さん  私どもと、子供の友達のご夫妻と一緒にプレーをしたり、母親同士で泊まりがけのゴルフをしたりすることもあります。

沓掛会長 ですから、夫婦でゴルフをすると、ネットワークが一気に倍増します。

感謝の気持ちを持ってプレーをする大切さ

鳥羽理事長  最後にゴルフの魅力について、お感じになっていることをお話しいただけますか。

鳥羽志保美さん  やっぱりパットが入った時は気持ちがいいですね。カランという音を聞くと、最高の気分になります。体だけでなく、精神面でも、ゴルフの良さを感じます。

鳥羽理事長  この人は、4ラウンド連続でバーディーを奪ってくるのですよ。

鳥羽理事長

沓掛美由紀さん  子供やお友達と、ラウンド中にいろいろなお話ができて楽しいし、景色を見ながらプレーすると、ストレスが発散できます。少し落ち込んでいても、みんなでゴルフに行くと元気になります。実は、長男がレッスンプロをしていて、夫とは教え方が違うのです。子供から言われた方を聞くようにしています。(笑)

沓掛会長  少しでも腰が痛い、足が痛い、肩が痛いなど、故障があるとゴルフをするのがつらくなります。しっかり歩けるとか、健康状態がある一定以上の人じゃないとプレーできません。ですから、ゴルフができることは幸福なのだと感じています。それはつまり、ゴルフができる体を維持することが大切だということでもあります。
もう一つ、プレー中は、(仕事のことなどを)忘れていられます。逆に、邪念があると、プレーがボロボロになります。リスクリターンを様々考えながらプレーをし、しかも周囲には明るく振る舞うことを心がけています。

鳥羽志保美さん  沓掛会長が健康についてお話されましたが、本当に大切なことだと思います。一緒にゴルフをしていたお友達がいて、一生懸命にプレーをされていたのですが、一人の方が認知症になってしまったのです。アメリカで知り合った方はものすごく上手で、毎年、一緒に北海道のゴルフ場に行っていましたが、亡くなられてしまいました。年をとってくると、別れや病気でご一緒できなくなる方が出てくる。すごく悲しいことだと思っています。

沓掛会長  ゴルフができるということは、精神状態も含めて、本当に幸せなことです。そう考えて、1打1打に集中し、一つ一つのラウンドで楽しい時間を過ごす。そういう感謝の気持ちを持ってプレーをするのが大事だと思います。

鳥羽理事長  女性は、60歳くらいから、血圧が高くなったり生活習慣病にかかったりする人が、男性よりも急に増えていきます。同時に、骨密度が下がり、筋肉量が減ってきます。女性は、50代、60代にしっかりとタンパク質やカルシウムを摂取し、運動をすることが重要なのです。ですから、健康増進のため、女性こそ太陽の下で、緑の芝の上を歩くゴルフをしていただきたいと願っています。

皆さま、楽しいお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

 

協力・グレートアイランド倶楽部

構成・髙岡和弘(情報シェアリング部会・委員)

 

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