道内ゴルフ界が一体となったゴルフ振興を
北海道ゴルフ連盟インタビュー
宮本 知治 会長
中村 英世 事務局長
――これまで行ってきたゴルフの普及、振興関連の事業があれば、教えてください。
中村事務局長 以前から、北海道ゴルフ連盟を中心に、北海道プロゴルフ会、北海道ゴルフ場支配人会、日本ゴルフ場経営者協会北海道支部、北海道学生ゴルフ連盟、北海道ゴルフ練習場連盟、北海道ゴルフ観光協会の7団体で、『ゴルフ活性化協議会』を結成しています。協議会でのゴルフ推進に関する事業としては、ゴルフ場の活性化、ゴルファーの増加を目指して、一緒に企画運営を行っています。
若年層へのアプローチ
――この協議会を含め、具体的にどのような振興策を行っていたのでしょうか。
中村事務局長 若年層のゴルファーを増やしたいという考えから、北海道連盟は今年、プロの大会で活躍している道内出身の若手ゴルファー4人の写真が載った「ゴルフをはじめよう」というポスターを制作しました。男子は植竹勇太プロ、片岡尚之プロ、女子は小祝さくらプロ、内田ことこプロで、それぞれ写真を無償で提供していただきました。連盟に未加盟のゴルフ場も含めて、道内のゴルフ場とゴルフ練習場、ゴルフショップの計262か所に配布して、掲示してもらいました。ポスターは、とにかくゴルファーを増やしたいという思いで作りました。主なターゲットは、ジュニアを含めた若者層です。
次に行ったのは、初心者対象の無料レッスン会です。これも今年初めて実施した事業です。対象としたのは、道内在住の20代から40代までの人で、ゴルフ未経験者あるいは経験3年以内の方です。プロゴルフ会、ゴルフ練習場連盟に協力していただき、8月と10月の2度、札幌地区の練習場で行いました。8月は20人(1人欠席)、10月は10人が参加しましたが、募集をかけたら枠がすぐ埋まってしまい、お断りする人が出るほどでした。
――そういう機会があればゴルフを始めたい、レッスンを受けたいという需要、要望があるのでしょうね。
中村事務局長 無料だったのが魅力的だったのかもしれませんが、手応えを感じました。来年度も継続して行い、札幌周辺の地区でも実施したいと計画しています。
――北海道地区は、連盟の事業に対し、プロゴルフ会が協力的だと聞いています。
中村事務局長 北海道には、県連盟がありません。プロゴルフ会、練習場連盟なども組織が一つですので、かえって互いに話しやすく、密接な協力体制にあるのかもしれません。
――北海道は、冬は寒さや雪でラウンドができないハンディがありますが、今年も女子の菊池絵理香プロ、小祝さくらプロがツアーで優勝するなど、出身者が活躍しました。若い人の間で、ゴルフをやりたいという機運はあるのでしょうか。
中村事務局長 身近な人がトッププロになっているのを見て、特にジュニア層には刺激になっています。夢がそう遠くはない、と感じているのではないでしょうか。最近では、今回のポスター制作に協力してもらった片岡プロや植竹プロらがツアーで活躍していて、男子もついに出てきてくれたと思っています。
――道内のゴルファーの数は増えていますか。
中村事務局長 若い人、そして女性が増えていると聞いています。プレー代が比較的安い所は、確実に増えているようです。
――その理由について、北海道連盟はどのようにお考えでしょうか。
中村事務局長 コロナの影響が大きいと思います。若い人がボウリングをするような気軽な感覚で、コロナの影響が少ないとされる屋外スポーツのゴルフをやり始めたと思います。女性ゴルファーに関しては、ゴルフ場などに聞くと、かわいい服が着られる、おしゃれができるということが、ゴルフをする動機付けになっていると言っていました。
――その流れをつかむ、逃さないことが大事ですね。
中村事務局長 そうした傾向を踏まえて、先程、お話した「ゴルフをはじめよう」というポスターを作りました。どんどんゴルファーを増やしたいし、減らさないようにしなければと考えています。
――宮本会長は、ご自身で「道南オープン」というプロアマ混在の大会を、長年にわたって開催されてこられました。
宮本会長 コロナもあって、実は2年前に終了しました。父親の代から40数回、開催しました。『日本で活躍できるプロ選手、アマチュア選手を育てよう』というのが大会コンセプトでした。この大会から巣立っていった選手が、今日、プロのツアーで活躍しています。大会を続けてきてよかったと思っています。シニアやグランドシニアの部の表彰もしていましたが、これは長年お世話になったプロたちに報いたいという思いでやっておりました。
――以前より、高齢者の方が元気で、ゴルフを楽しまれている方も数多くおられます。年配の方にゴルフを続けてもらう後押しをすることも大事だと思います。
宮本会長 私がビジネスしている苫小牧地区では、独自の倶楽部対抗戦を行っていて、毎年13、14倶楽部が参加し、若い人から年配者までが競技を楽しんでいます。
――『女性とゴルフ』も、ゴルフの普及、振興の柱になっています。
中村事務局長 来年から、60歳以上を対象に、女子グランドシニア選手権を開催します。希望の声が大きく、前々から検討していました。
――そのほかにも、今後、ゴルフ振興につながる事業を何かお考えですか。
中村事務局長 先程お話したように、来年度、初心者レッスン会を開催します。今年より少し若い、20代、30代の人を対象にします。回数は倍の4回を考えています。
それ以外に、コースデビュー体験会を行う予定です。初心者レッスン会参加者だけでなく、ラウンド未経験者を対象に、ルールやマナー、ゴルフ場の利用方法の基礎を教え、その後、数ホール回るというものです。これは年2回ほど行いたいと考えています。指導をお願いしているプロ会の方から、無料なのはどうなのか、という声もあり、初心者レッスン会も含め、1000円か2000円をいただくことになります。また、プロ会の方でも初心者レッスン会を行うことを計画しているようです。
――プロ会が初心者レッスン会を開くのは初めてですか。
中村事務局長 これまで、個々のプロが初心者を教えたことはあっても、プロ会としてレッスン会を実施したことはなかったそうです。年に2回ほど開催するとのことですが、北海道連盟は、施設利用料、練習ボール代を負担し、パンフレットの配布などで協力したいと考えています。
――これは北海道連盟が今年、レッスン会を開催したことが、きっかけになったのでしょうか。
中村事務局長 そう聞いています。
宮本会長 こうした事業が、少しでもゴルフの振興につながればと願っています。道内にゴルファーが増え、ゴルフ場や練習場に足を運ぶ人が多くなるように努力を続けたいと考えています。
構成・髙岡和弘(情報シェアリング部会委員)