最も大切にしているのは挨拶と一期一会。お客様との距離感や向き合い方を大切にしたゴルフ場にしていきたい:櫛形ゴルフ倶楽部・渡辺真美支配人インタビュー

新潟市から北に車で約45分。日本一小さい櫛形山脈のふもとにあり、日本海を望むロケーションや四季折々の風景は評判が高い。
櫛形ゴルフ倶楽部・渡辺真美支配人に、ゴルフ場として大切にしていることや、ゴルフ界の未来について聞いた。

結婚、出産、育児、転勤を経て地元のゴルフ場に就職。「それまでゴルフは未経験でした」

――渡辺支配人は、櫛形ゴルフ倶楽部がある新潟県胎内市の出身だと聞きました。

渡辺支配人 はい、ここが地元です。もともとは医療に関わる仕事を目指していたのですが、結婚、出産、育児などがあり、その間には夫の仕事の都合でつくば市方面への転勤もありました。

――それまでゴルフ場に関わる仕事に就いたことはなかったのですか。

渡辺支配人 はい、そうですね。胎内市に戻ってきた時に、地元にゴルフ場ができるということで、現場事務所にお手伝いに行くようになったのが最初です。1994年にゴルフ場が完成すると、総務として入って経理を担当し、その後に企画などをやるようになって副支配人となり、2018年から支配人となりました。それまでゴルフといえば、主人とパターゴルフに行くぐらいだったのに、不思議な運命ですね。

――女性のゴルフ場支配人は日本ではまだ少ないと思いますが、その辺りを意識することはありますか。

渡辺支配人 新潟県にはゴルフ場が全部で34コースあります。私以外の支配人は全員男性ですが、皆さんとは仲良く、楽しく仕事をさせていただいています。

――ここまで支配人を続けてきて、ご苦労もあったのではないかと思います。

渡辺支配人 一番大変だったのは2022年の水害でした。線状降水帯がゴルフ場の上を通り、地崩れなどが多くありました。カート道路も崩れて通行ができなくなり、スタッフや工事関係者の皆さんと知恵を出し合って営業を再開できたと思います。ティーイングエリアを前に出したり、ローピングを工夫したりしました。最近では動物の被害も心配です。イノシシはもちろんですが、近隣では熊の目撃情報などもあります。ゴルフ場のスタッフ同士でお互いに注意喚起しながら、お客さんやスタッフの安全を第一に考えて運営しています。

――渡辺支配人はゴルフ場主催の企画やイベントなどを多く立ち上げていると、よく聞きます。

渡辺支配人 例えば私が還暦を迎えた時は「めでたいカップ」というオープンコンペを立ち上げました。結婚した人、還暦や古希を迎えた人、とにかく何でもいいから、おめでたいことがあった人は参加しましょうという、にぎやかコンペです。昨年9月で3年目を迎えましたが、男女、年齢に関係なく、幅広い層の方々が参加してくれて好評です。

――そのほかにも団体戦で行うメンバーのペアマッチや、地元の特産品など旬のものを賞品にしたオープンコンペも人気があります。また、胎内市には新潟食料農業大学があるので、そこの学生さんたちが作っている野菜などを賞品に提供していただくことができたらと考えています。胎内市内には4つのゴルフ場があるので、お互いに切磋琢磨して、よきライバルとして成長し、地元を活気づけたいですね。

ゴルフは何歳から始めてもいいし、中断していても何歳から再開させることも可能なスポーツです

――女性のゴルフ人口という面から見ると、変化はありますか。

渡辺支配人 ゴルフがコロナ禍でも楽しめるスポーツとして人気が出たことは実感しています。お客様に占める女性の割合も、例年9.1~9.5%くらいだったのが、2023年は初めて10%を超えました。大きな企業などは会社全体でコンペをやることも復活してきて、そこに女性が入ることが多くなったように感じます。女性にゴルフを積極的に勧める会社も増えていて、うちのグループ会社でも練習場に毎週コーチを呼んで、女性社員にレッスンをしてもらっています。ゴルフは生涯スポーツであり、社員の健康やお互いのコミュニケーションなども考えれば、このような試みは素晴らしいことだと思います。

――ただ、女性はせっかくゴルフを始めても、結婚、出産、育児などで中断してしまうことも多いです。

渡辺支配人 はい、でも私のようにそれらをすべて経てからゴルフを始めた例もあります。ゴルフは何歳から始めてもいいし、たとえ中断していても何歳から再開させることも可能なスポーツです。女性がもっと気軽にゴルフを楽しむことができるよう、オープンコンペでは女性全員に賞品が行き渡るようにするとか、レディースデーにはスイーツも出したり、いろいろやっています。もちろん男性の方たちに楽しんでもらうことも考えなければいけませんね。また、若い人や女性向けの「アンダー49&レディースコンペ」という企画も毎年好評です。49歳以下と女性に限定したコンペですが、おしゃれなゴルフ賞品を用意したり、リーズナブルな価格でラウンドできるので、リピーターも多いです。

――プレーだけではなく、クラブハウスを含めた総合的なサービスでも女性を引き付けるような工夫は大切だと思います。

渡辺支配人 そのような側面からですと、私が最も大切にしているのは挨拶です。そのための接客セミナーなども春先に講師の先生を呼んで開いたり、お客様との距離感や、向き合い方を大切にしています。ただ、コース云々に関して素人であることも、それはそれでメリットだと思います。お客様から見る目線とスタッフとしての経験から、グリーンキーパーには「私がお客様だったら、こうしてほしい」と言い、彼は彼でプロフェッショナルとしての視線から判断して答える。そんなことを繰り返しながら少しでもクオリティーの高いコースをつくっていければと思っています。

――女性目線ということで考えれば、最近はお風呂や洗面所のアメニティを充実させているゴルフ場も増えています。

渡辺支配人 色々なゴルフ場で私も楽しんでいます。うちのゴルフ場はアメニティはもちろんですが、清潔感と、ちょっとしたオシャレに気を使っています。施設管理もスタッフはお掃除が大好きな方々なので、いつも綺麗にしてくれています。そこは譲れないところです。

ゴルフは健康にもいいということをもっと伝えていきたい

――少子高齢化社会が進んでいく中で、これからはゴルフ場も変わっていかなければならないところは出てくるでしょう。どのようなところから変えていくべきだと思いますか。

渡辺支配人 難しいですね。ゴルフができる環境にある人って、ほんの少数だと思います。でも、ゴルフは歩いたり、考えたり、コミュニケーションも取れて、お互いの人柄なども理解できるし、私はこの仕事をするようになって90代の方とラウンドさせていただいたり、逆に若い高校生と回ったり、そのような経験を積んでいるうちに、人としてとても成長させてもらいました。以前にゴルフが認知症の予防に役立つという研究結果が出たこともありますし、ゴルフは健康にも身体にもいいということをもっと伝えられたらいいのかなと思います。

――日本ではゴルフに対するイメージが健康やスポーツというより、むしろ接待とか、そういう側面から見られてしまうことも多いから、もったいないですよね。

渡辺支配人 うちでは93歳の男性ゴルファーの方もプレーされていますけど、私よりスコアもよくてお元気ですよ。女性も50、60歳代で子育てを終えてから始めても全然遅くありませんから。まだまだゴルフというと男性のスポーツで、お金もかかるというイメージはありますが、そのようなゴルフ場ばかりではなく、リーズナブルにラウンドして楽しく食事ができるところも多くあるということを、女性にはもっと知ってほしいと思います。

――渡辺支配人のビジョンは、これからのゴルフ界にとって必要なことだと思います。

渡辺支配人 ただ、私もそれなりの年齢になってきて、若い人たちにいろいろ引き継いでいかなければならない立場でもあることは感じています。でも、まだまだやりたいことはたくさんあります。とりあえずゴルフ場に足を運んでもらうきっかけをつくって行きたいですね。練習場には何度か通っていても、そこからゴルフ場デビューをしていない若い方はたくさんいます。その方たちがどうすればゴルフ場に足を運んでくれるのかを考え、コースに出るとゴルフは本当に楽しいんだという事をどんどん伝えていきたいと思っています。

櫛形ゴルフ俱楽部
〒959-2634 新潟県胎内市小牧台900
http://kushigata.zerukoba.com/

構成・鈴木遍理(情報シェアリング部会委員)

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