ゴルフ用品を通じて、ゴルフ界の振興、発展に寄与:日本ゴルフ用品協会(JGGA)インタビュー

一般社団法人日本ゴルフ用品協会

川松 英明 会長
新居 秀樹 専務理事

――日本ゴルフ用品協会の概要を教えてください。

新居専務理事  協会の設立目的は「ゴルフ用品の性能と安全を確保しつつ、生産及び流通の合理化と消費者対策の改善を図り、ゴルフ用品、産業の健全な発展に努め、もって国民体育の向上に寄与すること」となっています。ゴルフ用品協会という名前にはなっていますが、用品を通じてゴルフ業界に寄与する、というものです。今、254社が加盟し、うち11社が賛助会員です。

――毎年3月、パシフィコ横浜でジャパンゴルフフェアを開催されています。

川松会長  協会にとって最大の事業になります。ゴルフ関係者が一同に集まり、ゴルフをされる方に加盟企業が直接、接触できる催しです。元々はメーカーの展示会的要素が強かったのですが、徐々に一般のゴルファーがワクワク楽しめるフェスティバル的な流れになってきました。2023年は、196社・団体に457コマのご出展をいただきました。ご来場いただいた方には、新製品クラブの試打、プロゴルファーによるイベント、会場内での物販等をお楽しみいただきました。

――初心向けの講習会など、ゴルファーに直接、アプローチする事業は行っていますか。

新居専務理事  年に1回、関東、関西、中部で、JGGAペア・スクランブルゴルフ大会を開催しています。2人1組で出場し、スクランブル方式によるダブルペリアで競います。それぞれがティーショットを打ち、2打目からは2人のボールのうち好きな方を選び、そこから2人とも2打目を打ちます。それをホールに入れるまで繰り返すルールです。初心者や、ラウンドの経験が少ない方向けに企画しました。実際の参加者はゴルフに慣れた方が多いのですが、ゴルフを続けていただく方策の一つとして、それでもいいのではと考えています。

川松会長  各メーカーが集まって、合同試打会を年1回、関西地区で開催しています。そこに行けば、様々なメーカーのクラブが打てます。40打席ほど使います。初めての方でも、いろいろなクラブを試すことができますので、楽しんでいただいていると思います。

大成功だった「ウィメンズゴルフ JGGAカップ」

――昨年6月、「ウィメンズゴルフ JGGAカップ」という女性の大会を開催されていました。

新居専務理事  昨年が初めての開催でした。新型コロナ感染の恐れが少ないゴルフが人気となり、81万人ほどの新規ゴルファーや復活ゴルファーが増え、そのうちの40パーセント、約30万人が女性だということです。増えた30万人の方に生涯スポーツとして続けていただこうと考えたのが、創設したきっかけです。ゴルフをやっていて良かったと思ってもらえる大会をぜひ、作りたいと思いました。

6月7日に千葉・紫カントリークラブあやめコースで行い、100人が参加しました。インスタ映えを考えて500個ほどのバルーンアートで会場を飾り、女性受けしそうなアパレルメーカー様、航空会社様、化粧品メーカー様などに協賛品をご提供いただきました。事前に、ご参加者全員が賞品を受け取れることもお知らせいたしました。

イベントとしては、会員企業が契約している女子プロゴルファーに来てもらい、ニアピンコンテストとか、ラウンド終了後にパットのレッスンを行い、最初と最後では2時間近い開きがありましたので、バイオリン、ビオラ、ピアノによるクラシックのミニコンサートを開催しました。先にラウンドを終了された方への配慮もさせていただきました。

――参加者は喜ばれたでしょう。日本ゴルフ協会も、今年6月6日に“Women’s Golf Day”を開催することを決め、そのプロモーションを行うことにしています。

川松会長  一緒にやろうというお話もありますが、画一的にやろうとすると無理がある気がします。でも、女性ゴルファーを増やすという目的は同じだと考えています。ブラックフライデー(11月第4金曜日に一斉に行われるバーゲンセール)のように、あっちでもやっている、こっちでもやっているということになれば、自然と盛り上がり、定着していくと思います。今年は6月2日、前回と同じ紫カントリークラブあやめコースで開催します。関西でも6月6日に初めて開催することを計画しています。

新居専務理事  学校関係では、今、約500の大学でゴルフを授業に取り入れています。その授業用に各メーカーから不要なクラブをご協賛いただき、各大学に送っています。

川松会長  定款にある「ゴルフ用品産業の健全な発展」の中に、ゴルフを振興しようという精神が脈々とあると思っています。マーケットあっての産業界ですから。マーケットを盛り上げるために、先ほど話したジャパンゴルフフェアを主催していますし、流通と一緒に正当な発展を目指す「ゴルフ用品販売技術者講習会」を開催しています。ゴルフフェアは一般ゴルファー向けの側面がありますが、こちらは流通、販売従事者のための資格制度になっています。講習会は、用具の構造から用具規則、公正競争規約など14教科にわたっていて、技術的な話や市場動向などを教えます。こうした知識がないと、お客様に説明できません。長い歴史があり、昨年までに約5000人が受講しています。これも協会が行う事業の大きな柱だと思っています。

「共配便」などでSDGsを推進

――SDGsにつながる事業にも取り組んでいると聞いています。

新居専務理事  ゴルフ共同配送(共配便)事業を行っています。あるメーカーの取引先が100社あったら、100台の配送便が必要です。メーカーが10社あったら、1000台もの配送便を走らせるわけです。でも、メーカー10社のものを集約し、同じ配送便で店舗に送れば10分の1の100台ですみます。人手が足りないと言われる運送業界の就業環境の改善にも役立ちます。2020年の調査ですが、CO2を前年より約39パーセント、1700トン削減した結果が出ました。この事業に対し、経済産業省や国土交通省などが協力しているグリーン物流パートナーシップ会議から特別賞をいただきました。

川松会長  環境にやさしい事に加え、会員企業としても物流コスト削減や業務の効率化につながっています。業界のイメージアップにもなります。

新居専務理事  脱プラスチックも推進しています。クラブを傷などから守る保護剤として、いわゆるプチプチが多く使用されています。そうしたものをどんどん削減しましょうという啓蒙活動を行っています。

川松会長  どのような保護剤を使うか、メーカー各社、受け手側の流通各社でもバラバラです。でも、議論を進めれば出口が見えるものです。統一のガイドラインがあると、用品協会がこう言っているから、うちも脱プラスチックをやるか、というムーヴメントが起こると期待しています。

――協会加盟の各企業でも、初心者や女性向けのレッスンなどを行っていますか。

川松会長  初心者の方に7番アイアンを1本プレゼントして、ゴルフを始めるきっかけにしてもらう活動をしている企業があります。また、大手メーカーはほぼすべて、ジュニア向けのレッスンを行い、一般の方にも安い負担で受けられる講習会を開催しています。小学生でスナッグゴルフに触れても、高校までゴルフ部はありません。メーカーが地元のスポーツクラブとタイアップし、契約プロが中学生にゴルフを教え、高校までの期間をつなぐ事業を行っている例もあります。

協会は、他にも、用品の規格のガイドラインを設定したり、模造品の販売を防ぐシールを作ったりして、業界の健全な発展を図り、お客様に確かなものを届ける事業を行っています。こうした幅広い活動を通じて、ゴルフ界に貢献していきたいと考えています。

 

構成・髙岡和弘(情報シェアリング部会委員)

 

 

 

 

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