ゴルフの振興推進のために必要不可欠とされるゴルフ場と地域の連携を、積極的に推し進めているのが栃木県ゴルフ場協議会だ。2024年9月22日に宇都宮市のマロニエプラザで開催された「とちぎライフスタイルフェア2024」に初めてブースを出展し、大盛況だった。同協議会の福島範治副会長に、出展に至った背景や当日の様子、栃木県のゴルフの現状などについて聞いた。
県民が生き生きと暮らせる社会の実現を目指し―イベントの主旨に賛同
――「とちぎライフスタイルフェア2024」には栃木県ゴルフ場協議会もブースを出展し、大好評だったと聞きました。出展に至った経緯を教えていただけますか。
栃木県ゴルフ場協議会・福島範治副会長 とちぎライフスタイルフェアは地元紙の下野新聞社の主催で行われています。もともと栃木県ゴルフ場協議会は下野新聞社とつながりが深く、協議会が県のプロゴルフ会と共催する栃木県オープンは男女とも広告を出して1面の記事を作ってもらったり、県独自のクラブ対抗競技会も後援していただいています。また、「栃木県知事盃争奪ゴルフ競技」という、2025年第60回を迎える歴史ある権威ある大会を「栃木県ゴルフ場協議会」「栃木県ゴルフ連盟」「下野新聞社」3者が主催し栃木県全体で開催を予定しています。今回はそのようなつながりの中で出展をオファーされました。県民にゴルフを広げていくためにゴルフ振興基金を立ち上げるなどの活動を続けている私たちの主旨に合っていると判断し、出展を決めました。
――ライフスタイルフェアの主旨とは
福島副会長 県民が生き生きと暮らせる社会の実現を目指し、幸せに生きるための知識や理解を深める機会として衣食住をテーマに、新しい時代を生きるヒントとなる人やもの、サービスと出会う機会を提供し、ウェルビーイング(身体的・精神的・社会的に満たされた状態)な社会の共創を目指すライフイベント、というのが主旨です。私たちもこれに賛同しました。

写真提供:栃木県ゴルフ場協議会
――出展したブースは、どのようなものだったのでしょう
福島副会長 パッと見てゴルフをイメージできるブースを作ろうと、まず人工芝を敷いて、ロールスクリーンも設置して、スナッグゴルフを揃えて、パッティングマットを置いて、子供用と大人用のパターを用意して、実際にボールを打てるようにしました。また、協議会で作成したゴルフマナーの動画を流し、加盟している30~40コースのリーフレットや協議会のパンフレット、ピンフラッグも置きました。
想定外の大盛況、6時間で延べ435人 スナッグゴルフやパッティングマット、ゴルフの入口に十分なる
――ブースを訪れた人数は
福島副会長 想定外に多くのお客様が訪れました。10時から16時までの6時間で親子連れを含めて延べ435人です。リピーターの方も多く、5回も来られた子供もいました。特にパッティングの体験コーナーは7割くらいが子供で、プレゼントに用意したチップマーカー100枚も早々になくなりました。もらえなかった方には申し訳なかったです。パッティングマットでボールを打つだけという単純なアトラクションに、こんなに興味を持ってもらえるとは正直、思ってもいませんでした。パットやスナッグゴルフがゴルフの入り口に十分なるという、一つの学びでした。

写真提供:栃木県ゴルフ場協議会
――福島副会長は、県内で鹿沼カントリー倶楽部、鹿沼72カントリークラブ、栃木ヶ丘ゴルフ倶楽部の3つのゴルフ場を運営する、鹿沼グループの代表取締役社長を務めています。ゴルフ場のメンバーの方も来られましたか
福島副会長 メンバーさんのお子さんが来られていました。お父さんはゴルフ場でラウンド中と話していた子もいて、パパがいつもやっているスポーツだと思って体験してくれる子もいましたね。
――今回のライフスタイルフェアの成功は、開催地の宇都宮市が元気ある街だということも背景にあると思います。2023年には街中を走るトラム(路面電車)も運行を開始して、活気づいています。
福島副会長 街全体が盛り上がっていますよね。住宅開発も盛んで、マンションも増えてきて、若い家族が移住してきたり、お年寄りの夫婦が東京の家を売って新しく家を買い、趣味などに打ち込んでいることも多くなっています。栃木県や茨城県は都道府県の人気ランキングでいつも最下位争いをしているような印象ですが、最近は変わってきていますよ。
人口10万人あたりのゴルフ場数は日本一 県民にプレーしてもらうのはゴルフ振興の基礎
――そのような街、県の盛り上がりは、ゴルフの振興にもつながりますよね
福島副会長 はい、栃木県は人口10万人あたりのゴルフ場の数が6・2コースもあり、日本で最も多い。だから県民の方にゴルフを知ってもらい、プレーをしてもらうのは、協議会としてのゴルフ振興の基礎となる考え方です。そのような背景もあって、今回はライフスタイルフェアに出展してゴルフを身近に感じてもらえたのは、とても良かったと思います。家にゴルフクラブが普通に置かれていて、子供たちも公園でゴルフをして遊び、ゴルフ教室も増えて多くのスクールが展開されるという理想を目指し、これからも地域全体で取り組んでいけるところには積極的に関わっていきたいと思います。
――県外から移住してくる人も多いと先ほど聞きましたが、ゴルフが好きな人にとってもゴルフ場が身近にある栃木県は魅力的に映ると思います。何といってもプレーフィーが安いですしね
福島副会長 はい、実は鹿沼市でも移住者への支援を行っています。私たち鹿沼グループと市がタッグを組んで、鹿沼市に移住してうちのゴルフ場のメンバーになってくれる人には割引を適用する制度があります。また、市でも名産がイチゴであることから、移住者には語呂合わせで「サンキュー、イチゴ市」として3万9145円を補助金として支給しています。
2025年の日本オープンゴルフ選手権会場は日光カンツリー倶楽部 振興の起爆剤に
――栃木県のゴルフはますます盛り上がっていきそうですね
福島副会長 先ほど話した県独自のクラブ対抗は、私たちが一般のプレーヤーから頂いている1人50円のゴルフ振興基金を使って何か新しい競技を増やそうと立ち上げた大会です。これは岐阜県の例を参考にさせていただき船出したのですが、5回目を迎えた24年の大会は27ホールある宇都宮市の鶴カントリー倶楽部で10月に開催し、過去最高の35クラブが参加して約210選手がクラブの名誉をかけて競い合い、競技熱の高まりを感じました。また、日本ゴルフ協会のWAG(ウィズ・エイジング・ゴルフ)スクールも今年は10クラブで行い、その卒業生が集まってラウンドすることも多くなり、初心者やジュニアに向けた活動も盛んになっています。
――地域との連携はますます強まっている感じですね。25年は県内の日光カンツリー倶楽部で日本オープンが開催されることも決まっています。
福島副会長 日光カンツリー倶楽部の松本典文理事長は、栃木県ゴルフ場協議会の会長でもあります。日本オープンゴルフ選手権を起爆剤に県民の人たちがゴルフに触れる機会が一層増えるためにはどのようなことができるか、松本会長とも相談していきたいと思います。
構成・鈴木遍理(情報シェアリング部会委員)