ゴルフは基幹産業の一つで、まちの活性化に繋がる:兵庫県三木市・仲田一彦市長インタビュー

歴史と自然に恵まれた兵庫県三木市が、「ゴルフのまち」をキャッチフレーズにしてブランド化を図っています。約400年の伝統がある金物の製造と、酒米の王様・山田錦の産地とともに、積極的なPR活動をしています。仲田一彦市長にゴルフ振興の意義と効果などを語っていただきました。

400人以上の雇用確保と10億円を超える税収入

――三木市は2020年に「ゴルフのまち推進課」を設けています。開設までの経緯を教えてください。

仲田市長 三木市は、大工道具などを製造する日本最古の「金物のまち」と言われ、酒米の王様・山田錦の生産量も日本一です。また、市内には西日本最多となる25のゴルフ場があり、金物、酒米とともに地域資源としてさらに力を入れることにしました。ゴルフ場の総面積は市内全体の約1割を占めています。400人以上の雇用確保やゴルフ場利用税交付金、固定資産税などを合わせて10億円を超える税収入もあり、一つの重要な産業として捉えています。そういうこともあり、ゴルフ振興の「顔」を作ろうということになりました。

――なぜ、この時期にゴルフ振興に力をいれることになったのでしょうか。

仲田市長 私が兵庫県議会議員をしていた頃、これだけのゴルフ場があるので、市内の県立高校のいずれかにゴルフ部を創設しようと考えており、県教委や校長と検討を進めていました。以前から、ゴルフ場は教育やスポーツということだけではなく、一つの地域資源として生かそうという考えを持っていました。

――ゴルフのまち推進課には「営業係」と「事業係」があります。それぞれ、どのような役割をしているのでしょうか。

仲田市長 営業係は「ゴルフのまち三木」のPRに努め、三木市の知名度を高めています。事業係はゴルフ人口の増加を念頭に置き、ゴルフ場と連携を図っています。多くの市民にゴルフに触れあってもらおうと、4人体制で営業と事業が一体となって業務をしています。

――ゴルフ振興のコンセプトを教えてください。

仲田市長 三木市の取り組みは3つの柱からなっています。まずは「ゴルフのまち三木のPR」です。
三木市レディースゴルフトーナメント(プロ大会)、全国高等学校・中学校ゴルフ選手権春季大会、小学生が日頃の練習の成果を競うスナッグゴルフ対抗戦JGTOカップ全国大会を市内で開催しています。全国の方に「ゴルフといえば三木」というイメージを浸透させて、プロ選手や一般ゴルファー、ジュニア世代のあこがれの地にしたいと考えています。
2つ目は「ゴルフ団体と連携したジュニア育成」です。日本プロゴルフ協会などのゴルフ団体と連携し、未来のゴルファーへの可能性がある子どもたちが、ゴルフに親しみを持ち、ゴルフが身近に感じられる環境づくりを推進しています。3つ目は「来場者の増加によるゴルフ場活性化」です。ゴルフ場利用税交付金などの財源を活用して、ゴルフ人口と市内ゴルフ場への来場者数を増やし、ゴルフ産業をさらに活性化させたいと思っています。

仲田市長とゴルフのまち推進課の皆様

「ゴルフ移住」の家族も。小中一貫校にゴルフ部創設構想

――どのようなジュニア育成をされていますか。

仲田市長 まずは多くの市民にゴルフと触れ合っていただきたい。そのためには、地元の子どもたちにもゴルフをして欲しいと思っています。
ジュニア育成としては、小学生を対象にゴルフに親しみが持てるようゴルフ場見学やゴルフ体験事業、さらに、スナッグゴルフの体験やゴルフの楽しさを伝える「ゴルフ伝道」をJGTO(日本ゴルフツアー機構)と連携して、市内の小中学校で開催しています。スナッグゴルフはアメリカのプロゴルファーが開発し、屋内屋外を問わず安全にゴルフ感覚が楽しめる競技です。こうした取組が認められ、昨年にはJGTO会長の青木功プロが市役所にお越しになり、スナッグゴルフ8セットを寄贈していただきました。
また、ゴルフを楽しむきっかけづくりとして、保護者とペアで参加する「キッズゴルフデーin三木」をJLPGA(日本女子プロゴルフ協会)と連携して開催しています。このほか、全国高等学校・中学校ゴルフ選手権春季大会を三木市で開くのは今年度で4回目になりました。

――反応はいかがですか。

仲田市長 かなり好感触を得ています。高校だけでなく、中学校にもゴルフ部をつくってほしいしという声もあります。ゴルフは紳士のスポーツと言われるように、ルールやマナーに厳しい競技です。子どもたちに良い影響を与えていると感じています。プロ選手にならなくても、将来、社会人になってから役立つと思っています。
こうした取組から、ゴルフの練習環境を求めて神戸市から一家族が三木市に引っ越してこられました。いわゆる「ゴルフ移住」です。中学生の兄と小学生の妹はいずれも世界ジュニア大会出場の経験があり、優秀な成績を修めています。市役所でお話しさせていただきましたが、お二人ともプロを目指しているという気持ちがひしひしと伝わってきました。

ゴルフポスター展。新成人にゴルフボール贈呈

――ゴルフのPR活動としてどのような施策がありますか。

仲田市長 市内のゴルフ場を対象にしたスタンプラリーがあります。今年から、若い世代にも多く参加してもらおうと、LINE(ライン)を活用した「みっきぃゴルフdeデジタルスタンプラリー」にリニューアルしました。
市内の小中学生の児童、生徒から募集した「ゴルフのまち三木」のPRポスター展も企画しています。今年は258点の応募があり、最優秀賞作品などは10月中旬に市役所に展示しました。
1月に開催する二十歳の祝典では、ゴルフメーカーの協力を得て、新成人にゴルフボールを贈呈しています。

――ゴルフのまち推進課を設けて、今年4年目に入りました。一定の成果を上げている中で、将来像はどのようにお考えでしょうか。

仲田市長 「ゴルフのまち三木」の将来像ですが、現在、検討を進めている小中一貫校にゴルフ部を創設したいと考えています。子どもたちがよりゴルフに親しんでもらうことで、さらに充実したゴルフ振興につながっていくことを期待しています。
また、成果としては、これまでの取組から、全国の自治体や議会関係者らが視察に来られているほか、マスメディアの取材も増えるなど、三木市の知名度がかなりアップしていると思います。

――そのような状況の中、他の地場産業などへの影響はいかがでしょうか。

仲田市長 これだけ身近にゴルフができる環境があれば、市民の健康寿命が延びる可能性があります。観光やサービス業への波及としては、全国高等学校・中学校ゴルフ選手権春季大会などを開催することによって、三木市だけでなく周辺の自治体を含めて宿泊施設や飲食関係などに経済効果が出ています。それとPR効果も大きいですね。ジュニア育成の取り組みや市内でのプロの大会がテレビ中継されることで、三木市の知名度がアップしているのを実感しています。

――全国の多くの自治体で課題になっている人口減の食い止めにも貢献できるとお考えでしょうか。

仲田市長 もちろんです。全国の多くの自治体で、若い世代が都会に流出して人口減に悩んでいます。人口増は難しいですが、減少スピードを緩めたり、ストップさせる要因になればいいなとは思っています。それは三木市だけで考えるのではなく、周辺の自治体も一緒になって取り組むことができればと思います。子育て支援なども含めて周辺の自治体と競争するのではなく、共存できればいいなと考えています。

防災充実 災害時にゴルフ場で充電

――2020年に、日産自動車や三木市ゴルフ協会と「電気自動車を活用したまちづくりに関する連携協定」を締結しました。ゴルフ場とのかかわりはあるのでしょうか。

仲田市長 三木市には兵庫県立三木総合防災公園があります。1995年の阪神大震災後に、防災の拠点が必要ということになりました。三木市は神戸市の隣であって、中国自動車道、山陽自動車道、舞鶴若狭自動車道が通る交通の要衝でもあり、大阪や徳島、岡山などから高速道路を利用して来ることもできます。
2018年に発生した西日本豪雨で三木市内に避難所を開設した際、公民館に避難した住民のスマホや生活用品が常時使えるための充電設備が足りないことが課題の一つになりました。そこで、電気自動車などを備えたうえで、市内のゴルフ場9か所に設置されている充電スタンドの使用について支援をいただくことになっています。もちろん、周辺自治体やスーパー、企業、各種団体などとも災害時に備えて計88の協定を結んでおります。官民の連携が素晴らしいと評価してもらえる声もあり、防災関係は全国でも進んでいるほうだと自負しております。

――ゴルフ場の存在についてはどう思われていますか。

仲田市長 繰り返しにはなりますが、ゴルフは三木市の基幹産業と捉えています。ゴルフ場は就労の場であり、雇用の確保につながるともに税収面でも重要です。昔、ゴルフ場を開設する時は環境破壊ではないかと言われていましたが、今は綺麗に整備されてゴルフ場や周辺の山林に、多種多様の動植物が生息し、環境保全に役立っています。ゴルフ場の経営者や関係者も、そのあたりの意識は高く持たれています。

――尊敬するゴルファーはおられますか。

仲田市長 三木市出身で橘田兄弟という有名なプロ選手がおられます。兄の規さんは日本プロ選手権や日本オープン選手権を制覇するなど活躍されました。弟の光弘さんも日本オープン選手権で優勝するなど輝かしい実績があります。規さんはお亡くなりになられましたが、光弘さんは80歳を超えても子どもたちにゴルフの楽しさを教えていただくなど、ジュニア育成に貢献していただいています。大変、ありがたいことだと思っています。
また、鈴木規夫プロにも大変感謝しています。鈴木プロは日本高等学校・中学校ゴルフ連盟の理事をされていて、定期的に市内にお越しいただいています。先日も全国中学生教育合宿で指導をしていただきました。技術論だけでなく、精神面やマナーの重要性を教えていただき、選手たちも勉強になったと思います。

――市民を含めた皆さんへのメッセージをお願いします。

仲田市長 ゴルフ振興はまちの活性化に繋がっていくと思っています。ゴルフ産業に関係している方は意外と多いです。ゴルフにはプレーヤーがいてそれを支えている人がいます。多くの方が関与していて、まちの活性化に寄与してくれる産業です。三木市内のゴルフ場には日本屈指の名門「廣野ゴルフ倶楽部」もあり、有馬温泉に続く街道では城下町の風情も楽しめます。市民だけでなく全国の多くの方に三木市への関心を持ってもらえればと思っています。

仲田一彦市長 1972年生まれ。衆議院議員秘書を経て、2007年から兵庫県議会議員(3期)などを歴任し、2017年に三木市長に初当選。現在、2期目。趣味は読書、野球観戦。

取材・橋本栄二(情報シェアリング部会委員)

 

「ゴルフのまち三木市」の中学校6校全校にスナッグゴルフを寄贈(2022年11月1日)≫≫≫

 

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