トーナメントはゴルフに大きく興味を持ってもらうツール 地域に主眼を置いた普及と振興も:日本女子プロゴルフ協会インタビュー

トーナメントはゴルフに大きく興味を持ってもらうツール 地域に主眼を置いた普及と振興も

一般社団法人日本女子プロゴルフ協会

小林 浩美 会長

選手たちの映像を積極発信 女子ゴルフとSNSは相性がいい

――JLPGAは若手選手が次々と台頭し、幅広い層のファンをつかんでいます。ゴルフ界の中では最も勢いがあります。その中でゴルフの普及、振興に向けて考えている戦略などがあれば教えてください。

小林会長 トーナメントはゴルフに興味を持ってもらう大きなツールだと考えています。特にこの10年は若年層の活躍が目覚ましく、さらに30代の選手の感動的な優勝など、ツアー全体に重みが増しています。その中で私たちはここ数年JLPGA公式SNSに大きく注力し、大会期間中にホットな選手たちの映像やインタビューなどをガンガン発信するようにしています。結果、Twitter、YouTube、Instagram、Facebook合わせて40万人以上の人たちがフォローしてくださるようになって、コア層からライト層まで幅広く見てくださっています。

他方、ゴルフ事業部が地道に行っているゴルフの普及や拡大に関しては、長年、各地域で展開しています。全国各地で活躍するJLPGA会員とともに、JLPGAスクールや地域での企業向けレッスン、また全日本小学生トーナメントやキッズゴルフ、トーナメント会場や地域での各種イベントなど幅広く行っています。JLPGAのティーチングプロ会員はすべてA級資格を保持し、JLPGA独自のジュニアゴルフコーチ制度があり、今年の普及活動はジュニア関連に重点を置いて取り組む予定です。

 

――SNSの活用ですが、具体的には協会は選手たちに対してどのようなバックアップをしているのでしょうか。

小林会長 バックアップというよりも選手と協会が一緒になって、JLPGAツアーや各大会の価値向上を図っています。ファンの皆様に選手たちの素晴らしいプレー映像やインタビューなど、できるだけホットな状態でお届けして、よりトーナメントを楽しんでいただき、各選手を応援していただきたいと考えています。

また、昨年JLPGAブライトナー制度を開始して、6名の選手が選出され、JLPGAツアーで木製スタンドを採用した時に、トーナメントでのSDGs推進活動の紹介もブライトナーから発信しています。今年は9名の選手がブライトナーとして活動します。

さらに、選手たちの個人SNSについても、その発信力は凄いですし、フォロー数も凄いです。選手自身がSNS活動を行うにあたり、気を付けるべき大事な点がありますので、新人セミナーでは必ず、SNSの専門家の方を招いて講義をしていただいています。

小林会長

女性にとってはファッションもゴルフの魅力の一つ ゴルフ場は非日常空間

――ゴルフの普及、振興のためには一般の女性ゴルファーが増えることも必要だと思います。女性にとってのゴルフの魅力はどのように考えていますか。

小林会長 ファッションもその一つだと思います。街中で着ることができる服にはある程度の社会規範がありますが、ゴルフ場は非日常空間であり、ふだんはなかなか着られないような派手で明るいウエアを身につけ、楽しむことできます。ゴルフ場によっては、ウエア規則がありますが、女性にとってオシャレとは自己表現の一つでもあり、ゴルフを通してファンションを楽しみ、心が解放される部分もあると思います。なので、ゴルフウエアがフックとなってゴルフを始める人が増えたらいいですね。

それから、ゴルフをより楽しんでいただくためには、ティーイングエリアの位置や数も今後の検討課題の一つだと考えます。これからは女性ゴルファーがパーオンできる位置にティーイングエリアをさらに増やすことをお勧めしたいです。スコアメイクはゴルフの本質です。パーやバーディーを狙うことができるというのは女性ゴルファーに限らず、年齢を重ねてもよりゴルフを楽しめる大きな要因です。たくさんティーイングエリアがあるのは、いろんな楽しみ方をするためですよね。

――女性ゴルファーの創出もそうですが、ゴルフ界全体の未来に目を向けて必要と考える施策は他にもありますか。

小林会長 広い屋外でプレーするゴルフは、新型コロナウイルスの感染拡大により外でのスポーツが見直され、ゴルフ人口は70万人くらい増えたと言われています。まさか、この時期にゴルフをする方がたくさん増えるとは思いもよりませんでした。

ゴルフ界にやってこの大きなうねりをしっかりつかみたいです。ゴルフをプレーする人にはさらに好きになっていただきたいですし、ゴルフに興味を持ってもらう人もさらに増やしたい。そのために、より楽しんでいただける施策をゴルフ界全体で必要だと思います。男女トーナメントを通してできることや各ゴルフ場様の取り組みなど、それぞれが知恵を出し合っていきたいです。先ほどのJLPGA公式SNSはこの一環でもあります。また、ジュニア層がもっとゴルフができる機会を増やすことも大事だと考えます。つまりゴルフが野球やサッカーのようにより身近なスポーツになれば最高です。

今は学校での課外授業が教師の負担となってしまうため、地域でどのように取り組んで行けるかが大きなカギとなると思います。JLPGA会員は全国で活躍し、教えることが専門。自治体との取り組み方やスクールなど、JLPGAの普及活動では、ジュニアにより重点を置いて取り組んでいく予定です。

JGAが取り組む認知症予防や健康増進のためのWAG(旧ウィズ・エイジングゴルフ協議会)に関しても、ゴルフをすることで、長く健康に生き生きと生活する一助になり、さらに副産物として地域コミュニティーも築くことができる。医療費削減や社会的な問題の解決にもつながるので、活動を通じて幅広い貢献ができると考えています。

高齢者やハンディキャップを持つ方々にも楽しんでもらえるトーナメント、ゴルフ場に

小林会長 また、ゴルフをするだけではなく、トーナメントの観戦も長距離を歩く機会となり、木々に囲まれ、芝の上を歩き、健康促進につながります。トッププロたちの素晴らしいプレーを見て、心の感動や楽しさにもつながると考えます。

お子様から高齢者、ハンディキャップを持つ方々など、どなたにもより楽しんでいただけるように、施設やトイレの充実度、飲食や歩いて疲れた時にゆっくり座って見られるパブリックビューイング広場など、ゴルフ場様とも協力しあってさらなるゴルフの普及と振興に努めていきたいです。

 

 

構成・鈴木遍理(情報シェアリング部会委員)

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