社会貢献も「プロフェッショナルであれ」:日本プロゴルフ協会インタビュー

社会貢献も「プロフェッショナルであれ」

公益社団法人日本プロゴルフ協会

吉村 金八 会長
根本 修一 事務局長

――現在、日本プロゴルフ協会(PGA)が行っている普及、振興事業の主なものを教えてください。

吉村会長  ゴルフ人口を増やすために、私が一番期待しているのがPGAジュニアリーグという事業で、元々、全米プロゴルフ協会が始めたものです。日本でも2019年からスタートしました。通常、ゴルフはストローク戦で行われますが、この競技で採用されているのは、ペアを組んだ二人のベストボールを選択しながらプレーをするスクランブル方式です。この先、絶対に大きな展開になるだろう思っています。

私が会長になってから、担当するジュニア委員会には力を入れて進めていくように話しました。

根本事務局長  方式を説明すると、例えば2022年は、全国7ディビジョンでリーグ戦が行われ、各ディビジョンの1位が東日本、西日本のポストシーズンに進出。これを勝ち上がり、さらに東日本、西日本地区代表決定戦も勝てば、全国決勝であるチャンピオンシップに進みます。競技は、ペア3組で1チームを作ります。相手チームとスクランブル方式によるスコアで、3ホールごとに1つあるフラッグを奪い合います。9ホールのプレーで合計9フラッグ(3フラッグ×3組)のうち、多く奪ったチームが勝ちとなります。この方式だと途中の差があまりつかないうえ、たとえ先に2フラッグを奪われても、他の2ペアの戦いぶり次第で、チームとして勝つことができます。ですから、自分たちも諦めずに最後のフラッグを奪いにいくことになります。相談しながら、協力し合いながらプレーするという情操教育の面でも優れた方式です。

――どのくらいのチームが参加しているのですか。

根本事務局長  22年度は、7ディビジョン、47チームです。13歳以下が参加資格で、ペアを組むのは男女を問いません。

吉村会長  参加チームは年々、増えています。将来、47都道府県すべてで地区大会が行われるのが理想です。各地区のプロ会には、このPGAジュニアリーグ事業を推進するよう、頼んであります。

まず、子供たちにゴルフに興味を持ってもらう。そこには教育や礼儀などの要素も入ってきます。それが一番大事ではないかと思っています。

少子高齢化が進み、人口は確かに減少しています。その中で子供たちに少しでも興味を持ってもらい、練習場やゴルフ場に行ってもらう人が増えてくれば、と願っています。

吉村会長

――PGAは、以前からいくつかのゴルフ教本を作られています。ジュニア向けには「PGAジュニア基本ゴルフ教本」というものを発行されています。「指導」「教育」についての伝統があり、今のジュニアリーグにつながっているのでは、という印象を受けました。

吉村会長  PGAでは、ティーチングプロ(TCP)を養成する資格認定講習会を実施しています。講習会で使用している教材が「PGA基本ゴルフ教本」で、それをジュニア向け編集し直したものがジュニア基本ゴルフ教本です。私は以前、ジュニア育成というのは、日本ゴルフ協会(JGA)が中心で行うものだと思っていました。でも、今はいろいろな団体がジュニア対象の事業を行っています。底辺を広げることは、どの団体も一生懸命だと思います。というのは、今の子供たちが成長していってくれないと、PGA、JGTO(日本ゴルフツアー機構)、LPGA(日本女子プロゴルフ協会)にとっても死活問題になります。

本年度から初心者対象の「ゴルフ場体験会」を実施

根本事務局長  我々としては、ジュニア以外のゴルファー育成にも力を入れていきたいと考えています。昨年度から、公益目的事業として「ゴルフ初心者、未経験者のためのゴルフ場体験会」を始めました。昨年度は、テストとして4会場(福岡、千葉、兵庫、埼玉)で実施しました。基本的に18歳以上の成人が対象で、ゴルフ場に来てもらって、プロによるレッスンを受けてもらいます。同様のことは、各地方連盟などいろいろな所がやっていますが、プロが関与するという我々の強みを生かす内容になっています。1会場18人の定員で、プロ3人が付きます。簡単なゴルフの基礎知識やエチケット、マナーの講座が1時間あり、次の2時間はプロの指導の下、打球練習、パットやアプローチのレッスンを受けます。その後、コースに出て、1ホールはプレーをせず、歩きながらプロからゴルフ場の説明を受けます。そこでは、ティーイングエリアでのティーの刺し方から始まって、バンカーのならし方、グリーン上のピッチマークの正しい直し方など、プロが実際にやってみせて説明します。その後、1・5ホールくらい実際にプレーを体験してもらいます。受けた方はみんな「楽しかった」と思っていただいているようです。

早いうちにゴルフ場を体験してもらうと、その後、ゴルフを継続していくモチベーションにつながるというデータがあります。それならば、最初からゴルフ場に集めてしまおうとの発想から、今年から取り組みました。2023年は春4会場、秋6会場の計10会場で実施する予定です。体験会に参加した方がグッドゴルファーになってもらうことを目指しています。

問題は、集まってもらうのが大変だということです。我々は、ゴルファーには接触できますが、ゴルフをしていない人に情報を届けることが非常に難しい。その意味でも、今回、スタートした「JGAゴルフ応援サイト」にも、開催告知を載せていきたいと考えています。

吉村会長  ゴルフはお金がかかると思っている方が多いのではないでしょうか。そのような事はないですよと、うまく伝えられたらいいと思っています。

根本事務局長

――確かに、PGAが行った女性へのアンケート調査で、ゴルフをしない理由として「家にポロシャツがないから」を挙げた人が多くて驚いたことがあります。

吉村会長  ゴルフに関わっている人間と、しない人間の間には、そうしたすき間があり、認識の違いがあると思います。我々が働きかけることで、そこを埋めていきたい。言葉で伝えるのはなかなか難しいので、やはり行動を起こさないといけません。

根本事務局長  ゴルフを始めるにあたって、道具をそろえることが障害の一つになっているのでしょう。スキーのように、ウエアから最新の板までレンタルできるのが当たり前という形にゴルフ界もなればいいのではないかと思っています。ゴルフ場のレンタルが充実していたり、あるいはサブスク(サブスクリプション=月額契約、定額制)の仕組みができたりすると、もう少し障壁が下がる気がしています。あと、交通手段ですね。ゴルフ場は、公共交通の手段がなく、車でしか行けない所がほとんどです。その問題も考えないといけないでしょう。

「SDGs地区事業」に事業改編し、地域貢献に努める

――PGAは、フィランスロピー活動という社会貢献活動を続けられています。

吉村会長  公益社団法人であるPGAはプロゴルファーだけの団体ですが、やることはプロゴルファーのためだけのものではありません。「ゴルフ界に対して、すべてプロフェッショナルであれ」という気持ちでいます。

東京・若洲ゴルフリンクスで毎年、開催される障害者ゴルフ大会も、1999年から主催しています。肢体、聴覚、内部、視覚などに障害を持つ人に、プロゴルファーが同行してゴルフを楽しんでいただいています。

根本事務局長  「親と子&シニアレッスン会」という事業も続けています。最初は親子が対象でしたが、ゴルフは三世代で楽しめるスポーツですから、おじいちゃんやおばあちゃんも参加できる形にしました。例年、春休みに全国30か所以上で開催し、PGAの会員が指導にあたっています。来年度からは、開催時期など少し形態を変えて実施する予定です。

来年度から、フィランスロピー地区事業を「SDGs地区事業」と名前を変え、これまで行ってきた社会貢献事業を実施します。各地区では「プロ・アマチャリティーゴルフ大会」「ジュニアレッスン会」「スナッグゴルフレッスン会」の開催など、様々な社会貢献活動を行っています。

JGAは、オリンピック代表選手やナショナルチームという競技のトップの選手たちを担当されていますが、PGAはこうした貢献、様々な事業を通して、いい選手が育つための土壌を耕すことが仕事だと考えています。

吉村会長  我々はプロフェッショナルですから、生計も立てつつですが、教える技術を提供したり、イベントに補助金を出したりして、社会に貢献しています。各地区でも、多くの会員が今、そうしたことが自然にできるようになってきています。

 

 

構成・髙岡和弘(情報シェアリング部会委員)

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