散歩やジョギングのようにゴルフを日常に:谷川真理JGA理事インタビュー

市民ランナーから日本のトップ選手となって、東京国際女子マラソンやパリマラソンで優勝した谷川真理さんは、第一線を退いた後も、各地のマラソン大会にゲストランナーとして出場、講演やタレント活動を通じてスポーツに関する発信を続けています。昨年、日本ゴルフ協会(JGA)の理事に就任した谷川さんに、ゴルフとの出会いやゴルフ界への思いを話していただきました。

――ゴルフとの出会いを教えてください。

始めたのは1999年です。その年のハワイ・マウイ島マラソンに出場して優勝しました。なんとその翌日に、市民ランナー向けの月刊誌「ランナーズ」の編集長、社長にお誘いいただき、ラウンドデビューしました。マウイ島のとてもきれいなコースでした。マラソンはスタートしたら、身体の声を聞きながらずっと集中力を保って走るのですが、ゴルフは1打ごと、ホールごとに気持ちの切り替えが必要になるので、「これは大変だな」と感じました。ホールアウトに何打かかったなんて覚えていないぐらい打ちましたね。それでもグリーンにいくと視界が開けて景色がよくて癒される。「いいなあ」と感じたのは覚えています。普段は都会のコンクリートの上にいることが多いので、グリーンから広がる景色は気持ちよかったですね。

――その後はどのくらいの頻度でゴルフをされてますか?

当時は年間30回ぐらいマラソン大会に呼んでいただいていた時期で、時間に余裕がなく、なかなか自分からやりたいという気持ちは沸いてこなかったので、ゴルフはすごく間隔をおいてプレーすることが続きましたね。コロナ禍の前ぐらいに、「ランナーズ杯」というゴルフコンペに出てから1年に1回ぐらいはラウンドするようになりましたね。
今はJGAの評議員を経て、理事にさせていただいて、これをきっかけにゴルフも頑張ってやっていこうと思っています。今年1月には、同じくJGA理事の岩崎恭子さんと一緒に千葉県の一の宮カントリークラブでラウンドしました。その前には高校時代の友人に頼んで一緒に練習場に行ったりして準備しました。一の宮では1日目に9ホール、2日目に18ホール回りました。レッスンプロにもいろいろ見てもらいました。最近では、アスリート仲間のゴルフに誘われる機会も増えてきました。

――マラソンとゴルフは共通点や違いは?

ゴルフって同じスイングだとか同じ強さだとか再現性が求められますよね。それがなかなかできない。感覚がまだしっかりしていないから安定しない。マラソンでいえばペース配分がメチャメチャ。マラソンはコンスタントにトレーニングを続けないとできない。ゴルフもやはり同じなんだなと、気づきましたね。それに、マラソンもゴルフも台風でもないかぎり雨や風という自然環境の中でやる。そこで集中力を保つというのが共通しています。違いは、ゴルフはクラブという道具を使うこと。だから使いこなすことが大事になりますね。

――女性がゴルフを始めたり続けやすい環境をつくるために、ゴルフのここが少し変わった方がいいと思うところはありますか?

女性の年配の方が練習場に一人で来て楽しまれているのを見ると「とても素敵だな」と思いますよね。自分のペースで楽しんで心身ともに健康の一助にもなる。でもまだ、ゴルフをやったことがない、という女性が多い。マラソンなら公園で始めることもできますが、ゴルフだと練習場やコースに行かないとなかなか始められないので入口が難しいですね。最近はシミュレーションゴルフを街中でできるようになってきています。若い人が練習場やコースに行かなくても楽しめることを経験して、今度は外へ行ってみようと思うようになればいいですよね。
今、女子ゴルフ界は若い選手たちが次々に登場して活躍の場を広げています。マラソンの試合だと出場できるのは1年に3回ぐらいですけど、ゴルフは毎週のように試合があって注目度も高い。そんな波にも乗っていければと思います。

――JGA理事のお立場でこれから発信していきたいことは?

まずはゴルフの底辺を広げていくことですよね。5月には「春の女性とゴルフ週間(5月11日~25日)」というのが設定されています。そんなとき、敷居が高いと感じるのはコースのドレスコードです。伝統やステータスが大切なコースはそれも必要なことかもしれませんが、もっとフランクな格好でできるところが増えた方が良いと思っています。マラソンはランニングシャツとパンツで始められます。たとえば、子供たちが半ズボン姿でもゴルフに接することができる場所があれば、すごくゴルフに入りやすくなる。ゴルフ場は気持ちのよい場所で、歩いても足への負担が少ない。そういうところへ、散歩に行くような感覚で気軽に行けるようになれば、と考えています。皇居の回りで走り始めることができるように、公園とか河川敷とかでゴルフを体験できるような場所があれば、敷居が低くなって、底辺を広げることにつながると思うのです。
それともう一つ付け加えたいことがあります。それは、SDGs(持続可能な社会の実現)につながる活動をすることです。たとえば、ゴルフ場にウォーターサーバーを置いてプラスチックボトルの減少につなげたり、ゴルフの試合会場でも、ゴミを減らす工夫をするとか。とても大事なことだと考えています。

構成・古谷隆昭(情報シェアリング部会委員)

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