歴史と将来をつなげる取り組み 社会貢献を通じて振興を:関西ゴルフ連盟インタビュー

歴史と将来をつなげる取り組み 社会貢献を通じて振興を

一般社団法人関西ゴルフ連盟インタビュー

津賀 一宏 理事長
松原 健 事務局長

ーー関西ゴルフ連盟(KGU)は設立直後から関西オープンを主催するなど競技ゴルフの発展に努めてきました。加えて一般ゴルファーに対しても様々なイベントを企画するなど、ゴルフの普及・振興に非常に前向きに取り組んでいます。

津賀理事長 関西にはゴルフ発祥の地という意識があります。だからゴルフ熱も高い。ただ、ゴルフ人口が増えていったかといえば、そうでもないのです。連盟の役員にしても、どの地域もそうかもしれませんが高齢化していて、新しい役員がなかなか出てこない。そのような危機感を持ち、これまでの歴史、伝統を守りつつ、それを将来に向けてどのようにつなげていくかを考えながら活動しています。

そのために関西オープンも単なる競技ではなく、ゴルフというスポーツ、文化を通じて社会に貢献していくと位置付けることで、競技志向の方だけではなく多くの方に関心を持って応援していただければ若い世代が次にゴルフをやってみようかという気になるのではという狙いがあります。そこで得たお金の一部を社会のために寄付させていただくのも同様で、そのようなことを続けることによって歴史と将来をつないでいけるのではという思いがあります。

松原事務局長 ゴルフの普及・振興に本格的に取り組む契機は2012年に遡ります。当時の森下洋一理事長が関西のゴルフ市場全体を俯瞰し、現状のままだとゴルフ人口は2025年、あるいは30年には激減して加盟倶楽部の経営が成り立たなくなると考えました。そのためゴルフ人口の拡大に力を入れるように定款を変更して、準備室も開設しました。ただ、元手がなくては何もできないということで、振興事業に賛同いただける倶楽部はゴルファーから振興協力金として30円を預かっていただき事業に充てました。しかし、その30円を集めることには理事の中にも反対意見があり、森下さんや準備室長が強く説得して回った結果理解を得て、現場を預かる支配人会の協力・支援の元に振興事業をスタートする事ができたわけです。

津賀理事長 会員制のゴルフ場の経営と一般的なゴルフの振興には距離があるのでしょうね。ゴルフ倶楽部は名門であればあるほど経営は完結していて、経営に困っていない。そういうところから理事も出ているわけですから。このようなことを実施して前に進めていくためには、強烈なリーダーシップがなくてはできません。お金を集めて、それを回していかなければならないわけですから。

津賀理事長

ーー初心者スクールにもかなり力を入れています。

松原事務局長 KGUが目指したのはゴルファーの裾野の拡大、つまり新しいゴルファーの育成です。そのためには倶楽部では無く、初めての人が最初に訪れる練習場に支援すると言う事を参画倶楽部にご理解いただくよう説得しました。練習場にも協力していただき、初年度は500人くらいだった初心者スクール参加者が10周年を迎えた2021年には1万5700人になりました。累計も約10万人となり、開講している練習場も170を超えるまでになりました。練習場にとっても、初心者スクールでゴルフが面白いと思った人がそのまま練習場のスクール生になる率が3割から4割あり、これらの統計的なデータをまとめていきたいと思っています。

方向性は間違っていなかった 若い人に増える「友達や家族とプレーしたい」

ーー一般ゴルファーに対しては、その他にもゴルフ仲間やファミリー、ペアで参加できるゴルフ大会を多く開催しています。

松原事務局長 いずれも競技志向ではない人たちにもゴルフを長く続けていただきたいと思って立ち上げた大会です。昨年くらいから20代、30代の若い参加者も増えました。また、女性の方は練習場には行ってもコースに行かない人が多い。ヒアリングすると、恥ずかしいとか迷惑をかけたくないという謙虚な理由が多いのです。そのため、もっと気軽にプレーできるようにスクランブルのベストボール方式の大会も開催するようにしたら、女性の参加者も増えてきました。

津賀理事長 女性に関しては、日本はゴルフ倶楽部の中に男社会があり、ハードルが高く感じるのかもしれませんね。米国のパブリックコースなどはハウスに長く滞在せず、プレーを終えたら帰るだけなので、そのように感じることはないのですが。でも女性が何人もいらっしゃれば、そのように感じることもなくなる。

松原事務局長 スクランブル方式の大会も、昨年からペアに加えてチーム戦方式の大会も開催したら、いきなり3千数百組が参加してくれました。われわれの時代は上司から無理やり来いと言われるような会社でのプレーが多かったが、今の若い人は友達とか家族とプレーしたいというのが増えているからでしょう。方向性は間違っていなかったと思います。

ーーそのぶん、マナーなどを教わる機会が少なくなってしまうという課題もあるように思います。

松原事務局長 はい、そのために初心者スクールもエチケット、マナーから入るようにしています。そこは徹底していきたいと考えています。

松原事務局長

ーー関西ゴルフ連盟は「オール関西チャリティゴルフフェスタ」など、ゴルフを通じた社会貢献にも積極的です。そのような活動が将来的にはゴルフをめぐるゴルフ場利用税などの環境を整備することにもつながるのではないでしょうか。

松原事務局長 チャリティゴルフフェスタは2012年に振興事業をスタートした時から始めています。IPS細胞研究所に山中伸弥教授がノーベル賞受賞される前から寄付をさせていただき、今では2万3000人くらいが参加する一大イベントとなりました。

津賀理事長 社会貢献という側面から、ゴルフだけではなくスポーツは地域にとって重要です。地域の人たちの気持ちがスポーツを通じて一つになります。スポーツには拠点があり、それをどう生かし、そのために社会にどのような役立ちができるか、基本はそうだと思う。最初は何をすれば社会に貢献できるか、それを象徴的にお伝えできればゴルフをめぐる環境も変わっていくと思います。スポーツは個人にとっても人生の中で重要な心身の健全をはかることができ、それは地域にとっても大きな役割を果たすことにつながるのですから。

ゴルフ場利用税の話も出たが、それによって各地域にお金が回っていく部分もあります。そのようなお金の流れも使いながら、地域との連携が深まっていく形になれば、おのずとゴルフの地域における役割というのもみんなが認識し、振興につながっていくのではないでしょうか。粘り強くやっていきたいですね。

災害時の拠点となるゴルフ場 関西広域連合と支援協定締結

ーー防災、あるいは災害時の拠点としてもゴルフ場は重要な役割を担っています。

松原事務局長 関西ゴルフ連盟は、各府県の知事が中心となって防災体制の整備などを図る関西広域連合と支援協定を締結し、震災時にゴルフ場を住民避難所、救急車両の駐車場、ヘリポートなどに使用して府県民の安全確保を図ることに努めることになっています。

津賀理事長 1995年の阪神淡路大震災でお風呂が使えなくなった時に、地下水をくみ上げて重油のボイラーで沸かしたゴルフ場のお風呂を近隣の住民の皆さんが利用していました。そのようなことが自然にできることで、ゴルフ場に対する意識も変わっていくと思います。

 

 

構成・鈴木遍理(情報シェアリング部会委員)

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