ジュニアゴルフクラブチーム連盟・井上理事長インタビュー

少子化や生活様式の変化によるジュニアゴルファーの減少を食い止めようと、日本高等学校・中学校ゴルフ連盟の井上尚彦・理事長が、2021年4月にクラブチームとしてジュニアゴルファーを育成する組織として「一般社団法人 ジュニアゴルフクラブチーム連盟」を設立、小学校1年生から中学校3年生までのジュニア層を対象に、ゴルフの普及、教育活動の一環としてクラブチーム創設を推進している。3年間の活動で登録クラブは120チームとなり、2年後には全国で500チームを目指して精力的に活動する井上理事長に、ジュニアゴルファーの育成、クラブチームへの思いをお聞きしました。

――連盟設立に至ったきっかけを教えてください。

学校のクラブ活動としてのゴルフ部数が少なくなってきていました。少子化の影響でジュニアゴルファーもまた減少していました。ゴルフ部を増やすためにいろんな形でアプローチしていたのですが、指導者、練習施設などの壁が大きく、中学校ではクラブ活動としてなかなか成立しない状況がありました。そんなときに、スポーツ庁を中心に、中学の部活動を学校教育から社会教育の中でクラブチームの形式でやっていこうという考え方が出てきました。

モデルはサッカーや野球のクラブチームです。私自身が中学校まで野球をやっていまして、硬式野球のボーイズリーグの「八尾フレンド」(大阪)に所属していました。卒業生や熱心な父母の方々が世話役になって、練習場に集まり、車で移動して試合に行って、クラブチームの中では選手たちが教え合うという経験がありました。「ゴルフもこれでやってみよう」と、クラブチーム創設の活動を始めることになったわけです。

――初期のころの取り組みはどのようなものでしたか。

まず、連盟設立の1年前に自分でクラブチームを作ることにしました。大阪学院大学と併設の大阪学院高校で勤務していたことから、大学のゴルフ部にも協力をお願いして、OGUジュニアゴルフチームを作り、小学校1年生から中学校3年生までを対象に参加者を募りました。吹田市の広報紙に募集のお知らせを掲載してもらったところ25人が集まった。指導は卒業生のプロゴルファーにお願いして、週2回の練習と、上達した子供たちにはラウンドも経験してもらった。1年やってみて、保護者のみなさんもクラブチームという形式を経験して協力的に進めてくれるようになりました。ゴルフのことは知っているけど、「僕には、私には縁がないと」と思っている子供が多い。しかし、クラブチームでゴルフを始めて、続けたい子供たちが出てくる。保護者の方々も応援しようという気持ちになると思うのです。

次のステップは、クラブチームを作る「旗振り役」を見つけることでした。一番の難問は主導者・指導者をどうするかですから、ゴルフ場の支配人やメンバーの方、練習場の関係者、ジュニアの育成に理解のある企業の社長さんなど、地域で旗振り役になってくれる人を探しました。山口県、大阪府、岡山県、兵庫県とクラブチームができ始めました。そこで、全国大会をやることで、地方にも連盟の存在やクラブチームのことを知ってもらうことにしたわけです。その後に地域でも試合をやってもらっています。

――基本的には個人競技のゴルフですが、チーム競技としてやることの意味は。

クラブチームでは、中学生が小学生を見たり、男の子が女の子を見たりとお互いに教え合います。団体競技になると技術だけでなく、人への思いやりや協力することの大事さも学ぶことができる。教育的な面でもその意味は大きいと思います。

――「全国アンダー15(U15)ゴルフクラブチーム対抗戦」などの試合のほかにも「ジュニアスポーツフェスティバル」といったイベントも開催されています。

スポーツフェスは今年で3回目です。9月7日(土)に大阪市の天王寺公園(てんしば広場)の会場にいろんな人が集まります。社会貢献活動をしているプロ選手やトップ選手たちも参加してくれます。スナッグゴルフもその中に含まれています。いまからワクワクしているのですが、何とか晴天になってほしいです。その機会にメディアにもイベントを取り上げていただいて、「ジュニアゴルフクラブチーム連盟」の存在を全国に向けて発信したいと考えています。

――将来的な課題についてはいかがでしょうか。

サッカー、野球、バスケットボールなど、スポーツにはグラウンド、体育館などの公共施設がありますが、ゴルフにはそうした施設がありません。ジュニアの育成やクラブチームの運営のためにも練習場やジュニアが利用できるコースなど公共施設があればと思います。オリンピック競技、国体の競技でもあるゴルフですから、同じスポーツとしてこうした施設ができることを望んでいます。

 

取材/文・古谷隆昭(情報シェアリング部会・委員)

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