”外遊び”の経験を次世代につなぐ:キャロウェイゴルフ

クラブ、ボール、ウエアなど総合的なゴルフ用品メーカーのキャロウェイゴルフ株式会社(本社・東京都港区白金)が、持続可能な社会を目指すサステナビリティ活動の一環として、森の再生に乗り出している。2022年から鳥取県東部の智頭町で自治体などとのパートナーシップを結んで始めた「キャロウェイの森」プロジェクトを中心に、同社が取り組む「AII FOR GREEN」をテーマにした活動について、サステナビリティ・コミッティ・プロジェクトリーダーの喜田慎氏にお話しを聞きました。

――ゴルフ用品メーカーが森の再生に取り組むことになったいきさつを教えてください。

喜田氏 まず、私達の活動のコンセプトとしては、外遊びの経験を次世代につなぐということを念頭に置いています。キャロウェイのゴルフ用品、ウエア、アウトドアなどすべてのブランドに共通しているのが外遊びのためのアイテムを開発して提供することです。だからこそ、外遊びのフィールドを守っていかなくてはならない。皆さんが楽しめるような美しい環境を次世代につないでいくということです。

プロジェクトリーダーの喜田氏

2021年にアレックス・ボーズマン社長の方針で社内にサステナビリティ・コミッテイが私を含む8人で結成されました。さまざまな業務と兼務ですが、そこでの情報や知識も生かしながら、話し合い、アイデアを出し合いました。あらゆる活動がグリーンをめざしていく、つまり環境を守っていくことにつながる「ALL FOR GREEN」のテーマに沿って出てきたのが、森を守って次世代につなげることでした。それを実現するために一番重要なことはパートナーシップであると考えました。

音楽家の坂本龍一さんが創立した森林保全団体の一般社団法人more treesとパートナーシップを結び、more treesの活動地の1つである鳥取県智頭町にて協働で森づくりを行うこととなりました。元々林業が盛んな地域なので、町の面積の93パーセントを占める森林のうちおよそ78パーセントがスギやヒノキを中心とした人工林です。海外から安い木材が入るようになったことで林業が衰退し、次の担い手がいなくなってきている。そのため収穫期を迎えているにも関わらず、放置された森が増えてしまい、日が下のほうまで届かなくなり、高い木の下に小さな木や下草が生えなくなる。結果として土砂崩れや災害につながる危険性も出てきます。いま私たちがやらせていただいているのは、木材生産には適さない針葉樹人工林を収穫して、そこに広葉樹を植えていくことです。そうすることで、日も入るようになり、草も生える。多様な樹種を植えることでそこに棲む微生物や生物も多様性が増していく。そのことを地道にやらしていただいて、昔あった元の智頭町の森に戻していくという活動です。

――more trees、地元自治体の智頭町、そして芦津財産区議会とのパートナーシップのもと取り組む「キャロウェイの森」プロジェクトに新たに一般社団法人大学ゴルフ授業研究会が加わり、「未来につなぐ森:共創プロジェクト」を始められました。

喜田氏 昨年は大学でゴルフの授業に参加する学生7人をお連れして、実際に植樹等の活動に参加していただきました。キャロウェイの森はまだまだ広げる余地があります。これから数年かけてしっかりと地に足をつけた活動をしていきたいと考えています。大学生の方々に関わっていただく場所を作れたことによって、活動の幅を広げていけるかなとも思っています。地元自治体にはいろんな課題もあって、それに対して私たちでは思いつかないような若い方々の発想で課題解決の提案まで何とか持っていきたいなと思っています。昨年は美術大学の方々にきていただいたので、アートだとかそういった観点からの課題解決法を提案されています。それを今度2回目に来る大学生の方々に見ていただき、知識を蓄積することによって、どんどんいろんなアイデアが蓄積されていくんじゃないかと。結果としてそれを一つでも智頭町にとって実現するようなアイデアになれば、地域の活性化にもつながってくると思っています。

――キャロウェイの森の他にもさまざまなサステナビリティ活動に取り組まれてます。

喜田氏 ゴルフクラブのリサイクルに取り組んでいます。破棄予定のクラブを大学ゴルフ授業研究会を窓口にして大学のゴルフの授業に寄付させていただいています。年によってばらつきがありますが、2022年には9大学に40セットを提供しました。

アパレルのリサイクルにも取り組んでいます。直営店舗全部にリサイクルボックスを設置して、キャロウェイブランドに限らずお客さまが不要になったアパレルを回収させていただいてそれをリサイクルさていく仕組みです。

埼玉県にある農場をお借りして障害者雇用につなげている「キャロウェイ ファーム」の取り組みも行っています。生産された野菜は社員に販売しておりまして、そこで得た収益金に対してマッチングファンドを会社がする形にして、食糧難の国の子供たちの給食として提供する取り組みも行っています。

――こうしたサステナビリティ活動の将来像をどう描いていますか。

喜田氏 まず私たちが目指しているのが、2025年にしっかりと業界の中である一定のプレゼンスを獲得してロールモデルになることです。

それによって、いろんな企業さんなどが興味を持ってくれば、次のステージが見えてくると思います。また新しいパートナーシップが生まれ、いまは想像できないような活動も入ってくる。ひたすら繰り返すことが重要だと思っているので、まずは2025年に向けて目標を達成することかなと思っています。

正直、終わりのない活動です。常に発展していくことを期待しながら、目標を1個1個クリアしていく。10年後、20年後にはすごく大きなものになっていると思いますし、そのためにも活動のサイクルを作り続けることが重要です。

――森作りと一緒ですね。

喜田氏 時間はかかりますが、今やらないと将来大きくならないですから。今はまだ種まきの期間かなと思います。

 

 

キャロウェイゴルフ株式会社 HP
東京都港区白金台5-12-7 MG白金台ビル

 

構成・古谷隆昭(情報シェアリング部会・委員)

 

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