四国の良さを生かし、ゴルフ振興を図る:四国ゴルフ連盟インタビュー

四国の良さを生かし、ゴルフ振興を図る

四国ゴルフ連盟インタビュー

三木 輝久 会長
田坂 泰範 事務局長

財務を改善して積立金を作り、女性対象の事業を実施

――四国ゴルフ連盟(SGU)の加盟倶楽部数ならびに現状について教えていただけますか。

田坂事務局長 四国4県の57倶楽部が加盟しています。加盟倶楽部合計の入場者数は、1992年の290万人をピークに減り続け、2018年には210万人と、4分の1以上、減少しました。コロナ禍のゴルフブームで、2022年1月~11月の入場者数は、前年比で3パーセントほど増えていますが、少子高齢化がさらに進み、団塊世代が健康寿命を迎えることが予想されています。ゴルフ人口の減少を止めて拡大に転じさせることと、ゴルファーの方に少しでも長くプレーを楽しんでいただく環境を作ることが、最大の課題だと考えていました。

また、全国の8地区連盟の中で、四国はもっとも加盟倶楽部数が少なく、規模が小さい連盟です。入場者の減少に伴い、連盟の財政状況も厳しくなり、節減に努めてきましたが、将来も見据えた収支改善を図ることも課題でした。このため、財務状況を改善することと、先程挙げたゴルファー人口を増やすことが喫緊の課題であるとして、数年前から協議を重ねてきました。

そして、加盟倶楽部が負担する会費の増額について関係者の合意が得られ、2020年2月の連盟理事会で承認され、翌年1月から実施されました。

21年2月の理事会では、もう一つの課題であるゴルフの振興、活性化を図るという連盟の役割を明確にするため、規約を改正して、「ゴルフの普及、振興」を活動の柱の一つにすることを明文化しました。同時に、増額した会費による収入の一部を特別会計に計上し、ゴルフ振興のための積立金を設ける措置を講じました。

三木会長(左)、田坂事務局長(右)

「レディースデー」は加盟全倶楽部が実施

――具体的な振興策として、どのような事業を行っているのでしょうか。

田坂事務局長 スピード感を持って行わなければいけないと、二つの事業に着手しました。一つは、四国ゴルフ場支配人会主催の「四国ダブルススクランブルゴルフ決勝大会」への助成で、21年度から行っています。大会は、2人1組で競うもので、一般ゴルファーが参加しやすい新しいプレースタイルを提供しています。この大会が継続して開催されるよう、助成をしています。

今年度から実施しているのが、女性に注目した事業です。「四国の女性ゴルファーを増やそう」という旗印を掲げ、「女性だけの初心者教室」と、「四国レディースデー」を開催しました。

「女性だけの初心者教室」は、各県1倶楽部ずつを会場とし、18歳以上で、ゴルフ未経験者やラウンド未経験者、あるいは長くゴルフから離れている人を対象に、10人ずつ参加者を募りました。4月から10月までの最終土曜日の午後、3回の打撃練習と3回のラウンド体験をしてもらうものです。中四国プロゴルフ会から指導者を出してもらい、クラブなどの用具類は無料で貸し出しました。参加した女性が、大変楽しそうに受講していたのが印象的でした。これをきっかけに、彼女たちがゴルフを生涯スポーツとして楽しんでもらえたら、と願っています。今後、フォローアップにも努めていきたいと考えています。

「四国レディースデー」の開催は、加盟倶楽部が4月から9月までの最終週の平日に「レディースデー」を設定。その日、来場した女性ゴルファーは特別優待料金でプレーができ、500円のゴルフ振興券がもらえるというものです。全57加盟倶楽部が参加してくれました。優待券は、全員には配布できませんでしたが、次回の来場時、プレーフィーの一部として使うことができます。

加盟倶楽部にアンケート調査を実施して、反応、課題を調べました。「初年度とあって、まだレディースデー自体が定着していない」「内容も見直す点がある」などといった意見が寄せられました。参加した女性の方からも「振興券が大きすぎて、財布に入らない」という声がありました。改善すべき点は改善ながら、来年度以降、引き続いて実施していきます。加盟倶楽部によって、今回の事業について温度差はありましたが、継続して実施していくことで、共通の認識ができていけばいいと考えています。

――初年度ということで、広報が難しかったのではありませんか。告知方法などを教えてください。

田坂事務局長 今回は、女性対象の二つの事業を合わせたポスターを作って加盟倶楽部など関係先に掲示してもらい、地元のゴルフ専門誌にも告知記事を掲載してもらうなどご協力をいただきました。まだまだ、女性の方に浸透していないので、さらに広報活動を行って、広く周知をしたいと思っています。

――参加された方は喜んだと思います。毎年、継続することで、口コミなどの効果も考えられますね。

田坂事務局長  そうであって欲しいと願っています。女性がゴルフ場に行けば、同伴してプレーをする男性も増えます。初心者教室とレディースデーによって、加盟倶楽部の来場者増につながっていけばいいなと考えています。

田坂事務局長

「四国の良さを生かし、ゴルフ振興を図る」

三木会長  ゴルフの振興を図り、来場者数を増やすには、四国の良さをうまく利用して発信できるかも大事だと考えています。高知県のいくつかのゴルフ場は、宿泊施設とタイアップして高知の魅力をPRすることで、京阪神から月に7000人~8000人が来場するようになってきました。地域の良さを生かす方法です。各県の支配人会も、四国の良さを生かすように今、努力していて、いい方向に向かっているのではないかと思っています。四国ゴルフ界の振興のためには、単に金を出すだけではなく、知恵も出し合っていく。そうした努力の積み重ねが必要だと思っています。

――高齢者を含めた既存のゴルファーの引き止め策などはお考えでしょうか。

田坂事務局長  今は女性ゴルファーに着目した企画、事業を行っていますが、さらに様々な施策に取り組みたいと考えています。ターゲットは若年層、高齢者などいろいろあると思います。ちなみに、ある県ではエージシュート達成者に認定書や記念品を贈呈することを行っています。高齢者のモチベーションアップにつなげるエージシュートクラブ制度という活動です。連盟としても、高齢者を含めた既存のゴルファーの励みになるような支援ができれば、と思っています。

三木会長  私は90歳になりますが、週に一回のゴルフを続けています。いつも回る同伴者との年齢の合計は348歳であり、健康面を含めたゴルフというスポーツの良さ、素晴らしさを一人でも多くの人に伝える努力をしていきたいと考えております。

 

 

構成・髙岡和弘(情報シェアリング部会委員)

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