女子ゴルフツアーで通算41勝をマークしている永久シード選手(通算30勝以上)の森口祐子さん。出産後に18勝を挙げ、ママさんプロの先駆けとして有名だが、2024年6月には自らが育った岐阜関CC(岐阜県関市、36ホール=東コースは上田治設計)の理事長に就任した。選手経験などを生かし、名門ゴルフ場のかじ取りや女性ゴルファーをどう増やすか、現在の女子ツアー隆盛について思うことなど、話を聞いた。
――女性としては極めて珍しい、ゴルフ場の理事長という重責に就かれたときの心境は?
私は、24年の年明け早々に就任を打診された時は、突然の話に戸惑い、最初は『200%あり得ません、無理です』とお断りしました。ただ、タイミングもあったのでしょうか。岐阜関カントリー俱楽部が60周年という節目、私自身もお世話になって50年。色々な方に説得され、覚悟を決めました。
――ゴルフ場を運営する立場になって、いろいろ大変でしょうね。女性理事長として、岐阜関CCをどんな倶楽部にしたいとお考えですか。将来のビジョンは?
まずは営業利益を上げ、2200人近い株主会員の方に満足に感じていただける努力は必要です。お客様を笑顔で迎えられるよう、従業員の皆さんの雇用、環境も大事だと思っています。運営していく中で一番の悩みは、団塊世代のゴルフ離れ、少子化に伴うゴルフ人口減、キャディーさんの確保、猛暑、酷暑対策等々・・・。その上、当倶楽部は1964年の開場から60年経過しており、改修工事に伴う設備投資をどこまで行うか等、難題山積みです。経験のない中、理事の皆様のお知恵を借りて進めています。私自身はゴルフを通じて、たくさん成長できたことを考えると、ゴルフの『原点』ルール、マナー、エチケットを忘れず、会員の皆様のより良い交流の場になる様、努めたいと思っています。」

岐阜関カントリー倶楽部 森口祐子理事長
――プロゴルファーの経験は、理事長としてのどう生きていますか?
私自身が競技者として高い舞台でゴルフを楽しんできました。ゴルフ設計者の意図を汲み取りながら、又、競技委員の皆さんが考えるテーマを思いながら、スコアメイクに苦労しながら各ゴルフ場が持つ特性を考えゴルフを楽しんできました。昨年中部オープンを開催しましたが、白熱した優勝争いに感動しました。(優勝は2025年JGTOツアー賞金王の金子駆大選手)この大会は酷暑の中でしたが、グリーンの仕上がりも良く、出場選手の皆様からお褒めの言葉をたくさん頂き、コース管理皆さんの苦労も報われたのではないかと、従業員一同、嬉しさを共有しておりました。最後になりましたが、コースメンテナンスには一番気を使っています。
――現在、「大垣共立銀行」「フィットイージー(岐阜市)」の社外取締役を務めていますが、その経験も理事長職に役立っているのでは。
企業に求められるガバナンス、コンプライアンス等々立場を変えての経験は、とても勉強になりましたし、無駄にしたくありませんね。各企業や各地区の発展に見られる様に『人』を思いながら10年、20年先を想像できると良いのでしょうが、私自身は先ず、一つ一つ現場と向かい合いながら進めています。
――女性ならではの視点で、運営やサービスで考えていることはありますか。女性にゴルフに親しんでもらうためにはどうすればいいでしょうか?
「先ずは、女性用浴室のドライヤーを替えました。髪に易しいドライヤーと言う事もありますが、時短、スピーディーに乾くことも大事です。ご一緒された男性の方への気遣いも大事かと(笑)。女性会員は1割未満ではありますが、歴史ある女性の集いにも参加させて頂き、より良いゴルフ場への意見交流を計っています。又、昨年岐阜県女子クラブ対抗戦(36チーム参加)で優勝しました。又、男子は中部インタークラブで14位に入りました。選手激励を兼ね他のゴルフ場にも足を運びながら改善点を学んでいます。経験上女性が結婚し、子育て時間には、ゴルフから離れざる得ない時期もありますが、少し時間を作れるようになれば、1ラウンドとは言わず、ハーフ設定が理想だと感じてきました。
――選手時代から仕事と家庭の両立は大変だったでしょうね。今も理事長職のほか、テレビ解説や朝日大学(岐阜県瑞穂市)ゴルフ部のスーパーバイザーなどかなり多忙のようです 。
結婚・出産後は、ゴルフを続けようとは思っていませんでしたが、家族の後押し、協力もあって、出産後に18勝もできました。理事会は毎月1回あり、その前日には打ち合わせなどの準備があります。年末には6つある委員会の会議に顔を出しています。社外取締役として、毎月会議に出席し、朝日大ゴルフ部のコーチ業は毎週月曜日です。意外と忙しいですが、学生を教えるのは、後進の育成というよりも自分の勉強になるし、逆に教えてもらっているみたいです。一緒に回った人に、もう一度回ってみたい、と思ってもらえるようなゴルファーになってほしいですね。
――女子ゴルフ界は海外メジャー優勝者が次々誕生し、国内ツアーも大盛況です。ご自身の現役時代と比べ、どう感じていますか。森口さんが2度勝った、JGAが主催する日本女子オープンに期待することは?
世界に通用する選手が増え、とても嬉しく思います。技術の向上も嬉しいですが、TPOを考えたドレスアップは高いファッションセンスも感じます。個々のアピールもありますが、ゴルフと違う時間を楽しんでいるかの様にも見受けられ、頼もしい限りです。一方では、スポーツで生活できる国、この環境が当たり前では無い事も忘れないでいてほしいです。昨年、日本女子オープンのチャンピオンズディナーに参加させて頂きました。歴代チャンピオンを讃えてくださり、戦ってきた選手と一同に会する時間、とても有難い時間を過ごさせていただきました。
――ゴルフを楽しんでいる人たち、これからゴルフを始める人たちにメッセージを。
どのスポーツもそれぞれの魅力があります。学生時代、バスケットボールに親しみ、それからゴルフへ。団体競技から個人競技のゲームへの転換でした。誰かと比べると言うより、先ずは己のゴルフの向き合い方、コースと今日の自分を探りながら、尽きないゴルフの魅力を追及してほしいと思っています。
森口祐子 富山県出身。1975年にプロ入りし、ツアー通算41勝。日本女子オープンは岐阜関カントリー倶楽部での90年大会を含め2勝。2024年、同CC理事長に就任。
構成・吉良幸雄(情報シェアリング部会委員)


