JGA WAGスクールが九州のゴルフ場で初開催!:福岡サンレイクゴルフ倶楽部

日本ゴルフ協会(JGA)が、推進するJGA WAGスクール1Dayプログラムが9月16日、九州のゴルフ場で初めて開催された。会場は福岡県みやま市高田町の福岡サンレイクゴルフ倶楽部。スクールには、日本医師会名誉会長・元世界医師会会長・社会医療法人ヨコクラ病院理事長・医学博士で当ゴルフ場の理事長を務める横倉義武氏、JGAゴルフ振興推進本部ゴルフと健康部会・中島和也部会長も姿を見せた。スクールには11人のシニア(うちゴルフ未経験の女性3人)が参加。ゴルフと健康、ゴルフ人口の底辺拡大に力を注ぐ九州ゴルフ連盟(GUK)からは重永敏哉事務局長をはじめ福岡南部地区の支配人やゴルフ場関係者4人が「臨時コーチ」としてサポート役で進行を手伝った。また、スクール後には中島部会長と横倉理事長らが会談。横倉理事長が中島部会長の再度の来訪とWAGスクールの開催を要望した。

福岡南部では24倶楽部の支配人がコーチを務める

九州のゴルフ場で初めて開催されたJGA WAGスクール1Dayプログラムの会場は福岡県の南部に位置する福岡サンレイクGC。午前9時から始まったスクールでは、参加者はまず福岡サンレイクGCの一室で血圧測定等の体調をチェックし、安全面の注意点の説明を受けた。横倉理事長、中島部会長、重永事務局長が正面に座り、11人の受講者が向き合う。

冒頭、中島部会長が「ゴルフは健康にいいし、認知症の予防にも効果があると言われています。WAGスクールは今回、九州のゴルフ場で初めて開かれます。今後は全国に広めていきたい」とあいさつ。続いて「ゴルフと健康の学習」では、横倉理事長が約10分間、分かりやすく具体例を挙げて話した。要旨は以下の通り。

「健康的な高齢者を育てて行くのは国家的な問題。ガンは早期発見すれば怖くない病気です。8年前、私も膀胱に腫瘍が見つかり、内視鏡で取り除きました。60歳までタバコを吸っていましたからね。女性は60歳を過ぎると骨が弱くなります。無理のない運動を続けることで健康が維持できます。
その点、ゴルフは自然の中でやれるし、自然と接することができます。ゴルフ場は広々としていて心も安らかになる。その上、歩かないといけない。18ホールで8,000歩以上、カートなしでは15,000歩になります。年を取ると、足から弱くなります。歩くことは素晴らしい。またゴルフは同じ組の人と話をする。これが認知症予防にいいと注目されています。なぜ認知症にいいかと言うと、体を動かし、頭を使うからです。スウェーデンでの研究データによると、ゴルフをする人としない人では平均寿命が5年以上違うという結果が出たそうです。
ゴルフをすると目標ができるし、向上心のアップにもつながる。楽しくゴルフをしましょう」

横倉理事長

ゴルフが健康に役立つかを学習した後は本番である。その前に「ゴルファーのためのストレッチ」を約20分間、入念に行った。この日は気温が32度だったため、暑さ対策でストレッチは室内で実施。そして、練習場でボールを打ったり、パッティングの練習。ゴルフ未経験者の女性3人はアイアンを1本持って鳥かごへ。臨時コーチが2人ついて1時間以上もレッスンを行った。臨時コーチと言っても、福岡南部では24倶楽部の支配人がGUKと共催して2021年10月から毎年1~2回、女性の初心者のためのレッスン会「福岡アカデミー~For Ladies」を開いており、今回も支配人がコーチを担当。そのため参加者への対処はお手のもの。優しく、丁寧な指導を繰り返していた。

練習が終わると、3組に分かれ、カートに乗って数ホールのラウンド開始。ラウンド終了後にはクラブハウス内でアンケートに記入して、WAGスクール配布の「自宅でできるストレッチ」をもらって正午前に全スケジュールが終了した。

3人の女性にスクールの感想を聞いた。3人はいずれもコースのある、みやま市に隣接する福岡県柳川市在住。

田中恵美子さん「60歳を過ぎて時間にも余裕ができたので参加しました。普段歩いている道路や畑と違って土の感触が違います。ゴルフへの入り口となる一歩。いいきっかけになります。息子がゴルフをやっているし、今後どうなるか分かりませんが、家族でできるようになるかも。コーチから何気なく褒められると嬉しいものです。非日常は、たまにはいいですね」

成清絹子さん「数合わせで参加したんですけど、楽しかった。普段、触れることのないゴルフに出合って良かったです。今日はレンタルクラブでしたが、自分のものがあったらいいなあ、と思いました。同じ汗を流すにしても、すっきりしていました。スタッフの方が優しかったし、褒め上手でした」

伊藤美穂子さん「今は時間も作れるし、プレーの数をこなしていければ、もっと楽しくやれるような気がします。今後もこうゆう機会をもっと作って欲しい、と思っています。同じ組の人たちとおしゃべりもできるし、楽しいですね」

卒業生にゴルフを継続できる場を提供

女性3人の感想の報告を受けてから別室で横倉理事長、中島部会長、それに重永事務局長、1Dayプログラムの司会進行役などを務めた当ゴルフ場の水落大樹支配人も加わってWAGスクール開催の意義やゴルフと健康などについて語った。

中島部会長 JGAでは、JGA WAGスクールの卒業生が継続してゴルフをできる環境を整えるため、WAGクラブというコミュニティを組織化しました。日高CCさん(埼玉県日高市)で年に2回、会員を対象に先着50~60人で、定休日を利用して9ホールプレーをしたり、練習やレッスンをして解散、というイベントを開催しています。組織化してしまうと、人が集まりやすいし、継続しやすくなる。JGA WAGスクール1Dayプログラムでは、これまでスクールを開催できる機会が9月の「ゴルフ健康週間」の年1回だったのですが、今年から天候の良い5月の「ゴルフ月間」にもスクールを開催していただけるようになったのです。だいぶ卒業生も増えてきています。卒業生の皆さんにゴルフ場へ集まる機会を提供することは大事ですね。

横倉理事長 こちらから機会を作ってあげるのですね。

中島部会長 今日もゴルフをやったことのない方もゴルフをする機会ができて、それが集まれる機会を継続していけば、ゴルフクラブをレンタルしていたのが、クラブを自分で購入して本格的にゴルフに参入していくようになる。関東の方では昔やっていた人が多く、戻って来ている。WAGクラブやスクールで知り合ってコースに出ると、コミュニティが広がりますよね。どうしても既存ゴルファーもある程度、年齢がいくと周りでゴルフをやめていく人がいたり、不幸にも亡くなられて、1人でコースへ行けないから、と本人も離れて行く。ゴルフ場もプレーヤーを集める機会を設けているし、1つの活用方法としてWAGがあると思うので、ぜひ九州の方でも広げて欲しい。

横倉理事長 僕の年になると、段々一緒にプレーする人がおらんようになってくる。それは非常に困る。そういうのができてくるとありがたい。

中島部会長 九州で「ゴルフ月間」に1Dayプログラムを開催してもらうのもいいし、関東の方では、まだスクールを導入していないゴルフ場の担当者の方々に、実際にスクールを体験してもらうスクールのテストイベントをやっているので、九州からは遠いですけど、見ていただくというのもいいのでは。少なからずゴルフは健康に寄与し、少しでも医療費を下げるよう貢献できればと思っています。ゴルフ自体の地位向上を図って行かなければ、というテーマもあります。

地域住民の方がゴルフをやらない、ゴルフに対して良い印象を持っていない。地域の方がWAGスクールを通じて、『ゴルフ場って、こんなにきれいなんだよ』と理解していただいて、そこから行政に広がって行く方法もあります。

中島部会長

――テストイベントとは、今日みたいなことですか。

中島部会長 はい、今日のように、ストレッチやアンケートを書いたりもしてもらいます。どんなものなのか、質問があれば聞いてもらう。また、WAGスクールの特徴として、地域自治体の後援を得ることが条件ですが、自治体の申請方法が意外とハードルが高いと感じて申請をためらうコースも多いと思います。JGAでは後援の申請方法をお伝えしたり、フォーマットの用意もあります。それによってゴルフ場と行政がつながる。いろんなことに対して協力を得られるようになります。

横倉理事長 行政はゴルフ場に助けられていますもんね。利用税です。特にこの町は自主財源がないからゴルフ場の財源は大きい。

重永事務局長 今日教えていた先生方、4人いたじゃないですか。今もやっている「福岡ゴルフアカデミー~For Ladies」に携わっている支配人の皆さんです。初心者の女性を対象に4年ほどされています。今日の4人は女性を教えるのに慣れているなあ、と改めて思いました。

水落支配人 6期生が終わり、これまで100人が卒業しました。1回20人ですが、枠がすぐ埋まるので『枠を広げて』と言われています。

中島部会長 南部は何クラブ? 24。それがすぐ埋まるのですね。

重永事務局長 九州ゴルフ連盟のゴルフ活性化委員会の行事として福岡県南部でやっています。すごいのが参加者の来場履歴を調べて、1度でもプレーをしたことがある人は参加を断るんです。

水落支配人 もちろん、途中でやめる人もいますが、2分の1の方はゴルフにはまっているようです。参加者にはカードを作って、最初の1年間は福岡南部地区のゴルフ場はメンバー料金やメンバー料金プラスαでプレーできます。

中島部会長 古賀GCでも? メンバーの紹介なしでも取れるんですか。へぇ~。福岡の方が一歩も二歩も先を行っていますね。

重永事務局長 ゴルフにはまって会員権を購入した女性が何人もいらっしゃいます。こんな取組は福岡だけじゃなく、長崎や熊本など各県に広がっています。

横倉理事長 ゴルフ場からすると、段々高齢化になってメンバーが減って行く。新規開拓するのは、すごくいいことですね。

重永事務局長 卒業イベントの1つがみんなでプロのトーナメントを見に行くというのがあります。彼ら支配人の先生方が連れて行くのです。

中島部会長 WAGクラブも同じです。昨年、東京GCでの日本オープンを観戦に行きました。九州の方が先ですが。いい取組ですね。

水落支配人 女性たちがメンバー料金やメンバー料金プラスαでプレーできる、と聞いて私の知り合いの男性が大変羨ましがっていました。

中島部会長 メンバー料金でやる? 関東だったら『冗談じゃない』と言われます。(笑)日高CCさんを回れるというのが大きい。定休日とは言っても、『日高を回れるんだ』ということで人が集まる。なかなかやっていただくコースが少ないので。ずっと日高CCさんでやらせてもらっています。参加者は思い出になるし、記念になる、と言っています。参加率も高いのです。

GUK重永局長

ゴルフは楽しむ気持ちが大事

中島部会長 鳥羽先生※が横倉先生にぜひ聞いて欲しい、と頼まれましたので伺います。傘寿を過ぎても200ヤードをゆうに超えるドライバーを放つ先生にゴルフと健康について一言?

※鳥羽先生:鳥羽研二氏 東京都健康長寿医療センター理事長・医学博士・JGAゴルフ振興推進本部参与 2年前「ゴルフと健康シリーズ」で横倉理事長と対談

横倉理事長 難しいですね。今は200ヤード±10ヤードです。秘訣? 何もないですよ。とにかくフォローを大きくということを意識しています。

中島部会長 フォローを大きく取ろうというのは、ある程度取れるのは日頃から体をケアしているということですね。

横倉理事長 毎日ラジオ体操はしています。ラジオ体操は考えてありますね。

中島部会長 理にかなった体操だと言われていますね。いつも体をケアして準備しておきなさい、ということですね。日々の生活習慣をしっかりしなさい、と。

横倉理事長 そうです。ラジオ体操はYouTubeで。自分の時間がある時に1日1回やります。自宅近所の公園で朝6時から地域の人が10人ほど集まってラジオ体操をしているのですが、何回か参加したことがある。太極拳も見様見真似でしたことがあります。

中島部会長 僕からも一つというか、いくつかあるのですが、歩くことが健康にいいと言われますが、いいというのは漠然としか分かっていない。具体的に何がいいのでしょうか。

横倉理事長 歩くと季節の移ろいを感じます。外の草花などの雑草や小さな花が変わって行くのを見るのが楽しい。この近所にはアオサギが結構いるのですが、それが子どもを産んで、子どもも一緒に飛んで行ったりする。クリークの中にいるんですけどね。

中島部会長 体だけにいいのではなく、いろんな物を見て感じる。神経というか、脳にも刺激が行くのですね。いろんな発見がありますよね。どれくらい歩くのですか。

横倉理事長 30分くらいでしょうか。興に乗ると、もっと歩くのですが、歩きすぎると奥さんに怒られる。(笑)1分間100歩ですので3,000歩です。

中島部会長 歩きすぎは良くないと言われますが。

横倉理事長 階段とかを上るのはねえ。私は学生時代にラグビーをやっていて、両膝とも半月板が割れてしまった。割れたまま、だましだまし歩いています。

中島部会長 ゴルフは不思議なスポーツですよね。相手がどんな地位の人でも、それが取り払われる時間・空間がありますからね。とても私なんかが横倉先生とお話できるはずもないのに、ゴルフがあったからでしょう。ゴルフは不思議な力があります。

プレー中は人柄も分かりますよね。特に調子の悪い時にその人の人柄が出てくる。若い時は恥ずかしいこともしました。

横倉理事長 積み重ねです。人間は成長して行きますからね。ゴルフは人間形成にいいですよね。

中島部会長 プレーで何を意識し、何に気を付けたらいいでしょうか。

横倉理事長 マナーとエチケットをちゃんとしておかないといけません。東京の病院の河北君(博文氏 社会医療法人河北医療財団理事長)と仲がいいのですが、一緒にプレーした時に彼はいつも砂袋を持って歩く。おじいちゃんが初めの頃の霞ヶ関CCのメンバーだったそうだが、子供の頃から「砂袋を持って歩け」と言われたそうです。ずっといつも持って歩くのです。

中島部会長 エチケットやマナーは難しい部分もあるのですが、教える人が少なくなりました。何を教えたら理解してもらえるのか。なぜそれをしなければいけないのか。目土をするのはコース、あるいは管理スタッフの方々に対する思いやりや配慮を持ってやった方がいいのかな、とも思います。理由をキチンと話すと理解してもらえるのか、と。エチケット、マナーを伝えることはゴルフに限らず大切なことですね。

福岡サンレイクGC・水落支配人

横倉理事長 成長の過程で大事なことですね。

中島部会長 横倉先生は医師の指導者として多くの医師を育てて来られました。継続的に初心者が楽しく続けられる秘訣を教えて下さい。

横倉理事長 楽しく、楽しめる。僕は若い人に『楽しみなさい』と言います。何をするにもその気持ちを大事にしておかないといけない。楽しみがあってのものでしょう!

中島部会長 若手のお医者さんを指導されて、そこには楽しさがあるのですね。

横倉理事長 守るべきルールをしっかり守らないと楽しみはない。楽しみながら身につけてもらう。医師は医療義務というものがあって、それを身につけておかないと自分が大変な目に遭う。

中島部会長 スポーツは特に楽しくないとダメですよね。楽しめないと、好きじゃないとやれる努力も限度がある。昔から言う『好きこそものの上手なれ』ですね。

2年前の鳥羽先生との対談では惜しくもエージシュートを逃した話をされていましたが、2年が経過してエージシュートはいかがですか。

横倉理事長 よくぞ聞いてくれました!今年8月に後輩がロンドンに転勤することになり、一緒にラウンドをしたのですが、81歳と1ヵ月で「80」で回って達成しました。

中島部会長 鳥羽先生にいい報告ができますね。エージシュートは意識すると思うのですが。

横倉理事長 気が付かなかったんです。インから回って最後の9番はロングホール。3打で乗らなかった。そこで一緒に回った河北先生が『ひょっとしたら80で回るんじゃない』と。幸い4打目を寄せられてパーで上がった。81打までいいと思っていたので余裕があったんです。

中島部会長 緊張する場面で自分の気持ちをコントロールする秘訣はありますか。

横倉理事長 私も緊張して失敗したことが何度もある。それで「適度な緊張の中でやる」ことを学んだのです。それがいいんじゃないでしょうか。

本日は楽しい話をいろいろとありがとうございました。

 

取材・文/情報シェアリング部会委員 森本博樹

 

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